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  浜中海水浴場(JR北海道・留萌本線)

1.駅跡地(増毛方面をのぞむ)

 

2.駅跡地(留萌方面をのぞむ)

 

3.浜中海水浴場

【駅概略】 ※1995年8月8日廃止

JR留萌本線の瀬越−礼受間にあった無人駅。瀬越駅からおよそ1.8kmの地点にあった。海水浴シーズンにのみ営業していた臨時駅で,ホームはなく,列車が停車するとJRの社員がタラップを列車に付けて客を乗降させていたという。国土地理院が公開している2万5千分の1地形図では,駅を表す矩形はないものの,「はまなかかいすいよくじょう」という駅名はなぜかいまだに記載されている(2006年10月現在)。

 

【駅データ】 ※現在は廃止

駅名

浜中海水浴場(はまなかかいすいよくじょう)

所在地

北海道留萌市浜中町
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1989年7月23日

乗降客数

駅名のルーツ

 

【停車本数データ】 ※現在は廃止

 

【訪問記】(2006年10月)

礼受駅から留萌方面に向かって国道231号線をとぼとぼ歩くこと約40分,浜中海水浴場臨時駅の跡地に到着した。

この臨時駅のことを知ったのはつい最近のことだった。海水浴シーズンにのみ営業した臨時駅で,ホームはなく,JRの社員が到着した列車にタラップを付けて客を乗り降りさせていたという。そんな伝説的な話を聞くと,どうしても現地に行ってみたくなる。

・・・のだが,ホームがなかったというのが引っかかる。なかったからこそ伝説的なのだけど,現役時代ですらそうなのだから,今行ってもまず間違いなく痕跡は見つからないに違いない。

それでも行く気は失せない。とにもかくにも,まずは駅があった場所を特定することにする。同じ留萌線の桜庭駅や,石北線の伊奈牛駅のときは,30年ほど前に撮影された空中写真が有力な手がかりとなったのだが,今回は平成に入ってから設置・廃止された駅なので,使えそうにない。そもそも,ホームがなかったのだから写ってるはずがない。

「さて,どうしたものか・・・」と思案しながら何となく2万5千分の1地形図を見ていると,なんとなんと,留萌本線の瀬越−礼受間に,平仮名で「はまなかかいすいよくじょう」と書かれているのを発見した。留萌本線上に駅を示す矩形は描かれていないが,これはまさしくお目当ての駅のことをいっているに違いない。すでに廃止された駅をまだ載せている地形図の間違いに本当は憤るべきなのだけど,「さすがは2万5千分の1地形図だ!」と逆にますます地形図が好きになってしまった。

それにしても,駅廃止に伴う地形図修正の際に,長くて目立つ平仮名の駅名は消さずに矩形だけを消去したというのはちょっと考えにくい。駅を示す矩形は元来ホームを表しているので,ホームのないこの駅の実態を正確に表したらこうなり,廃止後もまだ修正の手が加えられていないということなのかもしれない。

とにかく,このありがたい地形図を手に,「はまなかかいすいよくじょう」とある地点にやって来た。どうせ何も残っていないだろうとは思いつつ,周囲の状況をうかがってみる。・・・・・・と,あることに気づいた。線路の東側は普通の草むらとなっていて特に変わったところはないのだが,その反対側,ちょうど浜中海水浴場がある側は,線路脇に枕木が敷き詰めてあって歩きやすくなっているのだ。おそらくは,到着した列車にJRの社員がタラップをつけやすいように,そして駅を利用する乗降客が歩きやすいように,線路脇に枕木を敷き詰めたのではないだろうか。

現役時代の詳細を知らないので,確証はない。ないけど,おそらくはそうだったんだろうと思えるものにめぐり合えて,私はすっかり満足した。そして,すっかり暗くなった留萌の街を,留萌の駅に向けて歩き始める。暗くて寂しい海岸通りから暗くて寂しい住宅街に入り,さらに行くと,突然下り坂の底に駅前繁華街が現れた。それがあまりに明るくまばゆくきらめいていて,留萌がとんでもない大都市に見えた。


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