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  春日山[旧](JR東日本・信越本線)

1.駅跡前広場

 

2.花壇の中にある石碑

 

3.駅跡地を通過する快速「くびき野3号」(高田方面をのぞむ)

 

4.56番 構内踏切

【駅概略】 ※2002年12月1日 現在地に移転

JR信越本線の高田−直江津間にあった春日山駅の旧駅。高田から3.5kmの地点にあった。1978年には開業50周年を記念して駅前に庭園が整備され、池にはニシキゴイが泳いでいたという。地元住民の要望により、2002年に現在地に移転した。旧駅の跡地は往時の名残をよくとどめている。

 

【駅データ】 ※現在は新駅に移転

駅名

春日山(かすがやま)

所在地

新潟県上越市春日山町3丁目
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1928年10月26日(国鉄として)

乗降客数

駅名のルーツ

上杉氏の居城があったところで、春日大明神の古い祠があったことからつけられた地名。

 

【停車本数データ】 ※現在は新駅に移転

1930年10月

14往復

1944年12月

13.5往復

1956年12月

下り19本、上り21本

1968年12月

16.5往復

1987年4月

21.5往復

2001年3月

下り23本、上り20本

 

【訪問記】(2014年6月)

JR春日山駅は、上杉謙信の居城であった春日山城の最寄駅である。私も、春日山城を訪れるため、2010年5月に下車したことがある。そのとき、プレハブ然とした駅舎を見て、「ずいぶん簡素な造りだな」と思った。「直江津駅と高田駅の間に最近新しく開業した駅なのか?」と思ったが、それ以上調べることはなかった。

ところが、最近になって、春日山駅は2002年に現在地に移転していたことを知った。駅の開業自体は1928年とかなり古い。さっそく新旧の時刻表を開き、営業キロの欄を確認すると、旧駅は現在地から400m南の地点にあったことが分かった。こうなると、現地を訪問せずにはいられない。折を見て、再訪することにした。

春日山駅に到着。4年前の記憶通り、1面1線のホームと、簡素な駅舎がある。駅舎を出てすぐ右手にあるトイレも、いかにも簡素な造りである。

JR信越本線の線路に沿って、遊歩道を南下する。左側に延びる線路を必死に眺めていると、やがて線路が分岐している地点に到着した。旧・春日山駅は2面2線の駅だったようなので、ここから先が旧駅の構内のようだ。ただし、東側に分岐した線路はすぐに途切れて行き止まりになっており、現在は西側に分岐した線路のみが使用されている。

さらに南下すると、広場に出た(写真1)。白線も残る駅前ロータリー風の道路と、それに取り囲まれた小さな花壇が、駅前広場の面影を思いのほか残している。現役時代のことは知らないし、現役時代のままなのかも分からないが、ここが旧駅の駅前広場に違いない。ここまで雰囲気を残してくれていると、何だか嬉しくなる。後で図書館でたまたま見つけた本によると、「昭和53年の駅開業50周年に合わせて駅前に庭園を造った」とある。この花壇が庭園の名残だろうか。この本によると、庭園には池もあって、ニシキゴイが泳いでいたというが、その跡はよく分からなかった。

花壇の中をよくよく見てみると、石碑が建っている(写真2)。その駅開業50周年のときのもののようだ。国鉄職員のみならず、近隣の通勤者の寄金で建てた由。いかに春日山駅が大事にされていたかが分かる。

駅舎があったと思われる場所に立ってみる。雑草が生い茂り、痕跡は全く見当たらない。ホーム跡と思われる場所にも立ってみる(写真3)。ホーム状の細長い空間が伸びているが、線路からは離れている。先ほど見た分岐から判断すると、駅移転後も旧駅付近の線路は移設されていない(直線化されていない)と思われるので、線路際のホームは削られたと思われる。そんなことを考えていると、新潟行き快速列車「くびき野3号」が通過していった。

広場から道を挟んで向かい側に「一義堂」という雑貨店がある。上杉謙信にちなんだ屋号だろうか。いかにも駅(跡)前商店といったたたずまいで、好ましい。

南下して、信越本線と交差する踏切までやって来た。ここで、ちょっとした発見があった。最近の廃駅めぐりの習慣で、廃駅跡地付近にある踏切の名称やキロ程を確認する癖がついてしまったのだが、ここでも確認してみると、「ここは、しんえつほん線 56番 こうない踏切 です」とある。また、別の看板には、「構内踏切 184K734M巾員6.5M」と書いてある。「こうない」=「構内」=「(旧・春日山駅)構内」を意味し、旧・春日山駅の構内にあった踏切のようだ。春日山駅の現在地だけを見ると、ここはごく普通の踏切に過ぎず、駅構内だとは誰も思わないだろう。こんなところにも遺構を発見することができ、嬉しくなった。

よくよく見ると、この踏切には、現在使われている線路のほかに、もう1本の線路が敷かれている(写真4)。ただし、そちらは踏切の前後で線路はつながっておらず、踏切の部分だけ不自然に線路が撤去されずに残っているような状況だ。踏切から南を見ると、この(見えないが)もう1本の線路の延長線が現在線に緩やかに近づいていき、やがて合流して1本の直線となって奥へと続いている様子が分かる。その合流地点までが2面2線を有した旧・春日山駅と考えると、やはりこの踏切は旧駅構内にあったと言える。

石碑に「構内」踏切にと、思いがけない発見があり、大いに満足した私は、これにて探索を終了し、家路につくことにした。


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