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  赤岩(JR東日本・奥羽本線)

1.現ホーム(福島方面をのぞむ)

 

2.引き込み線&ホーム跡地

 

3.錆びた駅名標が残る旧ホーム

 

4.大平の集落

【駅概略】

JR奥羽本線の起点・福島から3駅目,14.6kmの地点にある無人駅。福島市内だが奥羽山脈南端の深い山中にある。急峻な板谷峠を越えるためスイッチバック方式で駅が開設されたが,山形新幹線の開業を控えた1990年に廃止された。現在は本線上に移された1面2線のホームに標準軌対応の普通列車が発着している。

 

【駅データ】

駅名

赤岩(あかいわ)

所在地

福島県福島市大笹生字赤岩
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1910年10月13日

乗降客数

駅名のルーツ

火山の噴火によって生じた赤い岩がごろごろしているという自然地名。

 

【停車本数データ】

1925年4月

7.5往復

1944年12月

7.5往復

1956年12月

8往復

1968年12月

8往復

1987年4月

7往復

2005年7月

6往復

 

【訪問記】(2005年9月)

赤岩駅を3年ぶりに再訪することになった。完全な山の中にある現在の駅よりもむしろ,スイッチバックの痕跡や忽然と姿を現した木造の廃校のほうが今も脳裏に焼きついている。

同行者とともに,福島から米沢行き始発電車に乗る。穏やかな福島盆地を快走した普通電車は,庭坂を出ると急峻な板谷峠越えに挑み始めた。

庭坂を出て8分,赤岩駅に到着。何となく恥ずかしい気分で下車する。車掌さんに「出口はこちらですので」と言われ,素直に従った。

一回来たことがあるので大体の位置関係は分かっている。まずはスイッチバック時代の旧ホーム跡に向かう。ホームは基本的に前回と同じように残っていた。が,前回は辛うじて読み取れた駅名標が完全に錆びていて,全く読めなくなっている。また,ホームの一部を崩して真新しい変電施設のようなものが造られていた。

そのまま旧ホーム跡をまっすぐ進み,トンネル跡の左手から大平の集落へと向かう山道を登り始める。クマが怖いので,威嚇をかねて口笛を吹きながら,せかせかと歩いていく。

登り坂を行くこと約15分,にわかに勾配が緩くなり,左手に小道が分かれる。記憶に従ってそちらに進路をとると,草の生い茂った校庭跡を手前に配して,木造の廃校舎がその姿を現した。

前回来たときは何かに憑りつかれたかのように校門跡前にただ立ち尽くし,一歩も足を踏み入れることができなかった。ただ呆然と遠くから廃校舎を眺め,風に揺れる廃ブランコを眺めていた。

今日は違う。勇気を出して校庭内に入ってみる。そして校舎に近づいてみる・・・・・・。

・・・・・・崩れかかった木造の校舎が圧倒的な迫力をもって目の前に現れた。何も語らない。恨みつらみを述べるでもなく,同情を求めるでもない。ただただ自然体で構え,ただただ時の流れに身を任せている。目を閉じれば子供たちの歓声が聞こえてきそうだ。

・・・・・・が,それは風の音だった。

・・・・・・。

次に大平の集落に出てみる。前回来たときは少ないながらも人家が点在し,煙突から煙がたなびくなど人の気配が感じられた。それがどうも今回はますます人家が減った気がする。人家と見えて廃屋だったりする。人家があったとおぼしき更地も多い。中学校の社会の教科書に載っている「過疎」の2文字を必死で覚えるより,一度こういうところに来たほうがよっぽど勉強になると思う。

赤岩駅に戻る。スイッチバック跡,旧ホーム跡,廃校,集落,と見るべきものがたくさんあったが,何とか時間内に見物することができた。ホームで一息ついていると,はるか彼方から電車の音が聞こえてくる。やがて到着した迎えの普通電車に颯爽と乗り込み,壮大な歴史を持つ赤岩駅と大平集落を後にした。


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