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  旭浜(JR北海道・室蘭本線)

1.駅遠景

 

2.ホームに続く道(左手に待合室が見える)

 

3.東室蘭方面をのぞむ

 

4.駒ヶ岳をのぞむ(写真中央)

 

5.夕闇の中の旭浜駅

【駅概略】 ※2006年3月18日廃止

JR室蘭本線の長万部−静狩間にあった無人駅。長万部駅から5.3kmの地点にあった。もともと信号場として開業し,のちに仮乗降場を経て駅に昇格した。比較的交通量の多い国道37号線沿いに,2面2線ながら非常に簡素なホームがぽつんとあったが,利用者が1日1人未満と極端に少ないことから,2006年3月17日をもって廃止された。駅跡前には廃ドライブインがあるのみで,あとは無人の原野が広がっている。

 

【駅データ】 ※現在は廃止

駅名

旭浜(あさひはま)

所在地

北海道山越郡長万部町旭浜
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1943年9月25日仮乗降場兼信号場として開業,1987年3月31日駅に昇格

乗降客数

駅名のルーツ

朝日を迎えることのできる海浜のある集落ということ。全国によくある地名。

 

【停車本数データ】 ※現在は廃止

1972年10月

下り6本,上り4本(仮乗降場)

1987年4月

6往復(駅)

2006年1月

4.5往復(駅)

 

【訪問記】(2006年1月)

札幌から特急列車に乗車。東室蘭で普通列車に乗り換えてさらに約1時間半,旭浜駅に到着した。

ホームに降り立つ。列車2両分ほど,必要最低限の長さしかない非常に簡素なホームが上下線互い違いにある。雪掻きがされているのはそのうちの1両分だけで,あとは雪が好き勝手にうず高く積もっている。

交通量の多い国道37号線がすぐ目の前を走っている。雪に埋もれたホームを脱出し,とりあえずそこまで出たいと思う。が,ホームから国道までの約10mはホーム以上にうず高く雪が積もっていて,簡単には脱出させてくれない。

それでも足跡が国道に向けてついているので,それを忠実にトレースして脱出を試みる。足跡がついているところは雪が踏み固められて歩きやすいはずだ。・・・が,そうでもなかった。ちょっとでも油断すると,ずぼっと雪にはまって足を取られてしまう。

こんな感じで慎重に一歩ずつ踏みしめる私の右手に,屋根まで雪に埋もれた建物がある。待合室のようにも見えるし,トイレのようでもある。こいつの正体を是が非でも暴きたいと思う。が,これこそ周囲に足跡の全くない新雪に覆われていて,人のためにあるはずなのに全く人を寄せ付けようとしない。新雪に勇んで足を踏み出して接近を試みるも,あえなく靴の中に雪の闖入を許す結果となった。

散々な思いであえなく引き返し,何とか国道まで出た。しっかりと堅い舗装道の威力と,雪掻きを怠らない国交省の威厳をしみじみと感じる。ふぅっと一息ついてから駅周辺を見回してみた。駅前には1軒のドライブインがあるが,すでに朽ち果てていて廃屋と化している。それ以外には何もない。国道を車が頻繁に行き交うのみで,あとはただただ無人の原野が広がっている。なぜこんなところに駅があるのか,さっぱり理解できない。

さて,次の列車まで2時間半ある。とりあえず下車したものの,この2時間半をどう過ごすべきかは計画段階から大いに悩んだ。長万部駅まで歩き,下りの普通列車に乗ろうかとも考えたが,この列車は旭浜駅にも停車するので馬鹿馬鹿しい。だからといってこんなところで2時間半もじっとしていては凍死する。

いま一度,2万5千分の1地形図を見直す。旭浜駅の北西側には山が迫り,その山際を道央自動車道が走っている。そして「静狩PA」の文字が見える。ここまでは面白くも何ともないが,その静狩PAのすぐ下に「文」の記号があるのが目に留まった。

地図を見る限り,麓の集落からちょっと登った高台に学校があるようだ。山に抱かれた高台にぽつんとある学校。これは異常に心惹かれる。しかもうまい具合にここから2時間半で往復できる程度の距離だ。よし,ここに行ってみることにしよう。

というわけで,交通量の多い国道をまずは北東に向けて歩き出す。旭浜駅から直接北西に向かう農道のような道が地図には示されているのだが,この時期は完全に雪に覆われていて足跡も何もなく,もはや道ではなくなっていた。

ちょっと行ったところで左に折れ,小道に入る。そのT字路には,「静狩湿原」「静狩貝塚」とともに「共立小学校」の看板が出ている。今から向かおうとしているのはこの小学校らしい。

その小道を行く。アイスバーンが真っ直ぐのびている。時おり(廃)牧場が小道の右に左に現れる。やがて行き止まり,左に折れてさらに行くと,やがて右に入る道が現れた。

ここからは小山の頂上に向けて緩やかな登り坂となっている。このT字路にも共立小学校卒業生一同制作の看板があり,小山の頂上に目指す小学校があるようだ。地図を見てイメージした通りのロケーションに,心躍らせながら最後の登りにかかる。

・・・としたところ,その小山の頂上から車が3台連続して下りてきた。今までほとんど車とすれ違わなかったので,「おや?」と思う。が,気にしないことにし,いつの間にかほどけた靴ひもを結び直してから一歩ずつ雪道を登っていく。緩やかにカーブしていく登り坂のその先に,目指す小学校が少しずつ姿を現し始めた。

いま登ってきた道はこの小学校までしか除雪されていない。地図を見る限り,この先にも道は続いているのだが。・・・・・・となると,先ほど3台連続して下りてきた車は,この小学校の関係者(子供を迎えに来た親など)とみて間違いないだろう。授業が終わって一斉に帰るところに遭遇したのかもしれない。

最初はこんなところに小学校があるのが信じられず,「廃校では?」とすら思っていたが,いざ現地に来てみると建物は管理が行き届き,除雪もしてあって,まだまだ現役のようだ。安心したのと憧れのロケーションにめぐり合えたのとで,しばしそこに呆然と立ち尽くした。

最近は小学生を狙った凶悪な事件が相次いでいる。こんなところに立ち尽くしていては不審人物と間違われかねない。周囲を気にしながら身を翻し,いま来たほうへと下りにかかる。その下り坂の途中でふと立ち止まり,遠方を見晴るかすと,海を隔てて奥のほうに霞む渡島半島の中心に,駒ヶ岳が夕日に映えてしっとりとたたずんでいた。


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