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  稲士別(JR北海道・根室本線)

1.駅全景

 

2.池田方面をのぞむ

 

3.待合室内部  

 

4.帯広方面から迎えにやって来た列車

【駅概略】 ※2017年3月4日廃止

JR帯広駅から東へ2駅,8.4kmの地点にあった無人駅。人家の点在する田畑の中に,1面1線の簡素なホームがあった。国鉄時代には仮乗降場だったが,道内時刻表にも記載されていなかった。普通列車でも通過するものが多く,停車本数は少なかった。1日平均の乗車人員が1名以下と極端に少なくなったことから、2017年3月に廃止された。

 

【駅データ】 ※現在は廃止

駅名

稲士別(いなしべつ)

所在地

北海道中川郡幕別町稲士別
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1959年10月7日仮乗降場として開業,1987年3月31日駅に昇格

乗降客数

駅名のルーツ

イナ・・・稲の和語。シ・ペツ・・・大きい川の意。この組み合わせと思われるがはっきりしない。

 

【停車本数データ】 ※現在は廃止

1972年10月

?(仮乗降場)

1987年4月

7往復(駅)

2006年1月

3.5往復(駅)

 

【訪問記】(2006年1月)

ふるさと銀河線の高島駅から快速「銀河」に乗車。この列車は銀河線唯一の快速列車だけあって,JRに乗り入れて帯広まで直通する。が,快速列車だけあって,目的地である稲士別には停車しない。いったん通り越し,札内駅で下車した。

ここから稲士別に向けて,今来たほうに引き返し始める。一応地図を持ってきたが,ひたすら線路沿いに行くだけなので,地図がなくても問題なさそうだ。

単調な道を単調に歩く。いま私が歩いている道路は結構交通量が多く,トラックが歩道のすぐ横を頻繁に暴走していく。・・・と,今度はにわかに踏切の音が鳴り響き,鉄路を特急列車が爆走していく。どちらもものすごいスピードだが,道路のほうは制限速度を守らぬ「暴走」で,鉄路のほうは制限速度を守った「爆走」だ。

単調な道を単調に歩く。右手には工場などが建ち並んだ「札内東工業団地」が広がっている。たったいま午後の教習が始まったばかりの自動車学校なんかもあり,いかにも大都市郊外といった感じである。

単調な道を単調に歩く。と,今度は向こうのほうから一匹の犬がこちらに向けて駆けてくる。襲われるのではと一瞬たじろぐも,犬のすぐ横を不自然にゆっくりと走る乗用車があるのに気づいた。犬の走るスピードに合わせてゆっくりと走っているようにも見える。・・・・・それから30秒後,犬&乗用車とすれ違った私は確信した。これは犬の散歩なのだ。飼い主が単に散歩不精なだけかもしれないけど,車で犬の散歩とはなかなか斬新なアイディアである。・・・・・・周囲を走る車にとってはいい迷惑だが。

単調な道を単調に歩くこと45分,ついに稲士別駅に到着した。

この駅には3年前にも訪問したことがある。そのときは列車でやって来て周囲の様子をうかがったあと,再び列車で後にした。別に格別の味わいはなかったけど,時間があるので今回久しぶりに再訪してみることにした。

まずは相変わらずの待合室に入ってみる。待合室というより物置小屋に近い。しかもなぜか赤い電球がついている。スイッチを入れてみたが,点灯しなかった。あと,椅子に発車時刻表が立てかけてある。現在の時刻表と照らし合わせても,一致しない。どうやら昔の時刻表がなぜかいまだに待合室に残されているらしい。

次に,相変わらずのトイレを眺めてみる。トイレというより独房に近い。しかも入り口まで完全に雪で覆われている。使用するため近づこうとしたが,どんなに急を要する事態でも慎重にならねばならない。あと,すぐ横の道路を多くの車が行き交っている。何とか入り口にたどり着いたところで,落ち着かない。どうやらこのトイレをトイレとして使うのは止めたほうがいいらしい。

続いて相変わらずのホームに立ってみる。ホームというよりまな板に近い。それでもしっかりと白い線が引いてある。列車到着時をイメージして線に忠実に立ってみたが,すぐに馬鹿らしくなってやめた。あと,そんな自分の後ろに発車時刻表が立っている。現在の時刻表と照らし合わせて,一致する。さすがにホームには現在の時刻表を示しているらしい。

赤い電球に昔の時刻表,使う気の失せるトイレ,まな板然としたホームと,稲士別駅には相も変わらずおかしなものがたくさんある。が,相も変わらず格別の味わいはない。特にすることもなく寒さに震えていた私を,相も変わらずのディーゼルカーが地平線の彼方から迎えに来てくれた。


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