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  柿ノ木(JR東日本・只見線)

1.ホーム(小出方面をのぞむ)

 

2.駅入り口

 

3.駅舎

 

4.只見方面から迎えにやってきた列車

【駅概略】 ※2015年3月14日廃止

JR小出駅から只見線を7駅,22.8kmの地点にあった臨時駅。1面1線の短いホームと小さな駅舎があった。路線開業後に仮乗降場として新設され、国鉄民営化に合わせて駅に昇格したが、2013年3月に臨時駅に格下げとなり、全定期列車が通過するようになった。駅の周囲は破間(あぶるま)川沿いに開けた山間の小さな集落となっていた。1日あたりの平均乗車人員が1名程度にまで減少したことから、2015年3月13日をもって廃止された。

 

【駅データ】 ※現在は廃止

駅名

柿ノ木(かきのき)

所在地

新潟県魚沼市穴沢
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1951年3月1日(仮乗降場として)

乗降客数

駅名のルーツ

大きな柿の木をシンボルとした集落名であろう。

 

【停車本数データ】 ※現在は廃止

1955年12月

4往復(仮乗降場)

1956年12月

5往復(仮乗降場)

1968年12月

5往復(仮乗降場)

1987年4月

6往復

2001年3月

4往復

2013年4月

0往復(臨時駅)

 

【訪問記】(2013年2月)

3月のダイヤ改正で、只見線の柿ノ木駅が臨時駅に格下げされ、定期列車が通過扱いになるという。柿ノ木駅は本州では珍しい仮乗降場上がりの駅で、前々からいつかは訪問せねばと思っていたが、なかなか都合がつかず、これまでお預けになっていた。また、その隣に大白川というこれまた心惹かれる駅がある。ダイヤ改正が行われる前に、両駅を訪問しておきたい。時刻表片手に日帰りプランを立て、最寄駅から大白川駅までの往復切符を求めて、積年の思いをついに果たすこととなった。

小出駅から只見線に乗ってまずは大白川駅で下車し、大白川の集落を表敬訪問。引き返して、大白川駅まで戻ってきた。ここからいよいよ柿ノ木駅に向けて歩き始める。

只見線と絡み合うように走る国道252号線を西に向かう。豪雪が降る地域で豪雪が残る時期ではあるが、国道なので除雪はしっかりされており、歩くのに何ら問題はない。除雪された雪が両脇に真っ白なうず高い壁を成している。雪崩に気を付けながら、黙々と歩く。ふと左手を見ると、真っ白い雪原の中を只見線の二条のレールが伸びている。

スノーシェッドを2回通過する。まずは「七曲スノーシェッド」。その名に反して、途中で一度も曲がることなく抜けてしまう。続いて、只見線の下をくぐった直後から入る「柿ノ木スノーシェッド」。ここでついに「柿ノ木」の文字を目にし、ついにやって来たなとの思いを新たにする。

しばらく進むと、柿ノ木の集落が見えてきた。集落の入り口で道が二手に分かれる。せっかくなので、国道から逸れて右手の道に入ってみる。両サイドに工場と思わしき建物が並んでいる。こんなところに妙に集中しているな、と思う。

この道はすぐに国道に合流する。その合流地点で後ろを振り返ると、「入広瀬 農村工場柿ノ木団地」という古ぼけた看板があった。それによると、今見てきた建物はやはり工場で、見てきた順に鉄筋加工、織布製造、一般プレス加工、しいたけの工場(しいたけは農場と言うべきか)だったようだ。今もこの看板通り操業しているかは不明だが。

地形図によると、国道に戻ってすぐの左手に柿ノ木駅がある。本当にすぐそこのはずだが、うず高い雪の壁にも阻まれて見つからない。うろちょろしていると、この先に駅があるとはにわかに信じがたい小道を発見した(写真2)。まさかと思いながらこの道を行くと、本当に柿ノ木駅のホーム(写真1)があった。

仮乗降場上がりの駅ながら、意外に立派な駅舎がある(写真3)。入ってみると、作り付けの小奇麗な椅子が両サイドにある。向かって左側の椅子には「柿ノ木駅」と書かれた木製の駅名板が置いてあり、由来を解説した紙も貼ってある。それによると、この駅名版はかつて柿ノ木駅に掲げられていたものとのこと。現行のもの(写真3)よりこちらのほうが味わい深くていいのに、と思う。

両サイドの椅子と椅子の間には除雪用具が置いてある。1日4往復しか列車は来ないが、それでも除雪作業は必要なのだ。除雪したところで、はたして何人の役に立つのかと思う。しかし、悲しいかな、何人の人が希望しようとも、除雪する必要がなくなる日がもうじきやって来る。

・・・・・・。

なぜ臨時駅に格下げされるのだろう。周囲には小さいながら集落もあるし、農村工場柿ノ木団地まであった。もっと立地条件の悪い駅はいくらでもあると思う。定期客がいなくなったのだろうか。なら、いっそのこと駅を廃止すればいいのに、とも思う。臨時駅化後はどうせ全定期列車が通過するようになるのだから。実際、柿ノ木駅の2駅隣の田子倉駅は、同じく3月のダイヤ改正で廃止されることが決まっている。もしかして、いつかまた柿ノ木の集落に通学生が出る日に備えて、いつでも駅を復活できるようにとの配慮なのか。臨時駅化という中途半端な措置にやや合点のいかないところはある。

只見方面から迎えの列車がやって来た。ここに駅があるのだから、だんだんと減速して、やがて私の目の前で停車した。こんな、ごくごく当たり前の光景も、あと1か月足らずで見られなくなる。この光景をしっかり目に焼き付けつつ、列車に乗り込み、家路に就いた。

 

追記(2013年5月)

柿ノ木駅が臨時駅に降格してから約2か月後、所用で柿ノ木駅の前を車で通過する機会を得た。車窓から必死に眺めてみると、柿ノ木駅の入り口に真新しい鎖が張られ、ホームに立ち入れなくなっていた。これだとまるで駅が廃止されたみたいではないか。臨時駅化=駅廃止ではないだろう。望みは薄くとも、いつか柿ノ木駅に列車が停車する日が来ることを願って、稿を閉じる。


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