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  桂根(JR東日本・羽越本線)

1.ホーム(酒田方面をのぞむ)

 

2.待合室

 

3.集落から駅への入り口

 

4.信号場関連の施設

【駅概略】

JR秋田駅から羽越本線を3駅,10.0kmの地点にある無人駅。もともと信号場として開業したが,旅客扱いもしていたという。JR移行時に正式に旅客駅に昇格した。駅は日本海沿いにあって,線路西側には国道7号線が並行して通り,東側にはそれなりの集落が開けている。

 

【駅データ】

駅名

桂根(かつらね)

所在地

秋田県秋田市下浜桂根
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1962年9月30日信号場として開業,1987年4月1日駅に昇格

乗降客数

駅名のルーツ

磯馴れ松ならぬ磯馴れ桂が防風林の役目を果たしていたという地名。

 

【停車本数データ】

1992年2月

2.5往復

2001年3月

2.5往復

2008年3月

3.5往復

 

【訪問記】(2008年3月)

古代史において,蝦夷対策の拠点として出羽国に築かれた秋田城を訪れるべく,秋田にやって来た。が,その前に,ちょっと時間を割いて,前から気になっていた桂根駅を訪れることにする。

桂根駅は羽越本線という幹線にある。しかも,県庁所在地である秋田市の中心駅・秋田駅から3駅,営業キロにしてわずか10.0kmという好立地だ。これだけ見ると,かなり本数の多い,ごくごく普通の都市近郊駅という感じがするが,いざ時刻表を開けて調べてみると,特急列車はおろか普通列車ですら通過するものがほとんどで,停車するのはわずか3.5往復しかない。もともと信号場だったところをJR移行時に駅に昇格させたというのが真相らしいが,とにかく気になるので,行ってみることにする。

乗り込んだ普通電車は,ロングシートの座席が軽く埋まる程度の乗車率で7時ちょうどに秋田駅を発車した。まずは羽後牛島駅に停車。続いて雄物川を渡り,新屋駅に停車。ここまではごくごく普通の住宅地が広がっている。

・・・が,新屋駅を発車すると,にわかに山間部めいて短いトンネルに突入。抜けてすぐのところが件の桂根駅だった。車内にいる一般客の怪訝な目つきを振り払い,18きっぷを見せた車掌の好奇な目つきを押し切って,なんとかホームに降り立った。

ところで,昨夜遅くから秋田地方は本格的な雪となっていた。今朝,秋田駅に向かう途中も雪が降り続いていた。いま,桂根駅に到着する段になってようやく止んだが,ホームには新雪が15cmほど降り積もっている。降り立った上りホームを見回すも,足跡は全くついていない。対岸の下りホームを見てもやっぱり足跡はついていない。どうやら私が桂根駅の一番客のようだ。

ホームにたたずみ,駅周囲の様子をうかがう。秋田方面に向かって左手には国道が走っており,そのすぐ奥には日本海が見えている。一方,向かって右手には手前に待合室があり,そのすぐ奥には民家がまばらに見えている。あとは一面の銀世界が広がるのみで,国道を走る車の走行音以外は物音ひとつしない。秋田駅からたった3駅でえらい変わりようだ。

さっそく,右手に見えていた桂根の集落を散策することにする。駅ホームからは北に向かう道が続いているので,それに従う。・・・といっても,(犬の散歩をした人の?)足跡がかろうじて残っているからそれと知れただけで,なければ駅から脱出する術が分からず狼狽していただろうと思う。

新雪を一歩ずつ踏みしめ,そのたび足跡を刻み,道なりに進んでいくと,すぐに舗装路に出た。除雪してあり,歩きやすい。この舗装路を南下していくと,両側に民家が並んでいる。ホームから見たときの印象と違って,結構しっかりした大きな集落だ。・・・が,特にどうということはない。特筆すべきは,通学バスが間もなく迎えにやって来るのか,小学生が数人集まっているところが2か所ほどあって,横を通過するのに決まりが悪かったことぐらい。

駅に引き返す。まもなく秋田行きの貴重な停車電車がやって来るので,それに乗ってこの駅を去ろうと思う。今まで見てきたように,周囲にはそれなりの戸数を誇る集落が開けている。これまでの経験からして,高校生が通学でこの電車を利用する可能性が非常に高い。彼らに変な目で見られそうだが,頑張って耐え忍ぼう・・・。

・・・などと覚悟していたのに,高校生の姿はなかった。その代わり,壮年の女性が二人,待合室の前で談笑している。私の姿を見るや談笑が一瞬止まり,結局変な目で見られることとなった。

結局,高校生は一人も現れず,迎えの電車到着の時刻となる。・・・も,電車は来ない。ホームに案内放送が流れる。乗車する予定の秋田行き普通電車は5分ほど遅れる由。仕方ないので,手持無沙汰に,何となく日本海に目をやる。雪が降りやみ,雪雲もいつしか消えて,視界の上半分には白みを帯びた青空が広がり始めていた。一方,視界の下半分には,雪を細やかにまとった松林が広がっている。寒くて手がかじかんでいるのも忘れて,目の前に広がる青と白だけで描かれた景色に今頃になって見惚れた。


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