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  行川アイランド(JR東日本・外房線)

1.駅舎

 

2.閉鎖され放置されている行川アイランド(入園口)

 

3.「おせんころがし」から見た海岸の風景

 

4.安房鴨川方面から迎えにやってきた普通列車

【駅概略】

JR安房鴨川駅から外房線を3駅,12.8qの地点にある無人駅。1964年に開業した行川アイランドを訪れる観光客のため,1970年に入園ゲート前の山間部に臨時駅として開業した。アイランドはフラミンゴのショーを行うなど好評を博したが,その後入場者が低迷し,2001年に閉鎖された。駅のほうも一時は特急列車が停車していたが,現在は普通列車のみの停車となっている。ただし,アイランド閉園後も駅名は変更されていない。

 

【駅データ】

駅名

行川アイランド(なめがわあいらんど)

所在地

千葉県勝浦市浜行川
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1970年7月2日臨時乗降場として開業,1987年4月1日駅に昇格

乗降客数

駅名のルーツ

「行川」とは川の底が砂でなく,つるつる滑りやすい苔のついた小石が多いことを示している形状地名。フラミンゴのショーなどを行ったレジャー施設・行川アイランドは閉鎖されたが,駅名は残った。

 

【停車本数データ】

1979年8月

24往復

1987年4月

23.5往復

2008年3月

18.5往復

 

【訪問記】(2008年3月)

6年ぶりに久留里線に乗車。終点の上総亀山駅から徒歩5分のところにある「亀山・藤林大橋」バス停から高速バス「カピーナ号」に乗って安房鴨川駅に抜け,今度は外房線の人となった。次に目指すはいすみ鉄道の出る大原駅である。

・・・が,その前に,以前から気になっていた行川アイランド駅で途中下車してみた。この駅はレジャー施設・行川アイランドを訪れる観光客の便を図って設置されたもので,集落からはやや離れた,アイランド入園口のある山間部に設置された。フラミンゴのショーなどで有名になった行川アイランドだが,入園者が伸び悩んで2001年にあえなく閉園になったという。その後も駅名はそのままなので,名が体を表していないことになる。アイランドなき今,あとは地元の方の利用に期待するしかないが,集落からはやや離れているので,あまり芳しくない位置に駅があることになる。

ホームに降り立つ。鴨川方面から来るとトンネルを抜けてすぐのところ,山肌が両側から迫ってやや狭っ苦しいところにいかにも窮屈そうに1面1線のホームがあった。無人駅だが,待合室は最近整備されたのか,なかなか小綺麗だ。

そこから,行川アイランドへと続く小道が続いている。さっそくこの小道を行くと歩道橋に出て,もって国道128号線を渡ったところがアイランドの駐車場&入園口だった。入口ゲートへと至る階段は色褪せ,窓口はカーテンで閉ざされているものの,7年前に閉鎖されたとは思えないくらい旧状を維持している。今日がたまたま休園日かのようだ。

入園口の南側にトンネルがぽっかり口を開けている。入口ゲートを通った入園者たちは,このトンネルを通って奥にあるアイランド中枢部に入って行ったようだ。今はフェンスで閉鎖されていて入ることはできない。隙間から中を覗き込んでみると,軽トラックの周りで作業をしている2,3の人影がトンネルの向こうに見えた。いったい何をしているのだろうか。

アイランド見物はこれにてやめにし,比較的交通量の多い国道128号線の路肩を西に向かう。行川アイランド駅前を通過してさらに西進し,トンネルの直前で左に折れる。砂利道を南下し,ラブホテルの入口を右に見ながらさらに南下すると,海に出た。ここは地形図に「おせんころがし」とある場所で,太平洋をのぞむ断崖となっている。「おせん」というのは昔この地に住んでいたという娘の名で,物語の展開にはいくつかあるが,とにかくこの断崖から転げ落ちて死んでしまったという悲しい伝説が伝えられている。おせんの石碑も建っていて,いわれを伝える案内板も立っている。海沿いの崖上だけあって,風が非常に強い。台風のただ中にいるみたいに猛烈な風がひっきりなしに吹いていて,石碑も案内板も吹き飛ばされそうだ。そんな中,おそるおそる崖から下を覗き込んでみると,勢いあまって私まで崖を転がりそうになった。すぐさま安全なところまで取って返し,おせんの碑に手を合わせて,そそくさと今来た道を引き返した。

駅に戻る。小綺麗な待合室の椅子に座って待っていると,やがて安房鴨川寄りのトンネルから特急列車顔した迎えの列車が飛び出してきた。この列車は安房鴨川発外房線経由の東京行特急「わかしお18号」だが,安房鴨川から勝浦までは普通列車として運転されている。普通乗車券だけで,もちろん青春18きっぷでも乗れる特急車両として(一部のファンの間では)有名だ。別にこれを目当てにスケジュールを組んだわけではないけれど,「どうぞ」と言われればもちろん喜んで快適な特急車両の座席に身を委ねさせてもらう。勝浦まではわずか3駅,14分。海沿いに開けた小さな集落の数々を右窓に愛でつつ,つかの間の贅沢を楽しんだ。


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