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談話室その5

典型地形が織り成す情景

1.北海道
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2.東北
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3.関東
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4.甲信越
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5.北陸
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6.東海
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7.近畿
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8.中国・四国
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9.九州・沖縄
地方

 

銀河の滝・流星の滝

【所在地】
北海道上川郡上川町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・懸谷(本流と支流の合流点で、支流の谷床が本流より高い位置にある谷。懸垂谷やハンギングバレーとも呼ばれる。)

【コメント】
 写真は「双瀑台」から見たもので、向かって左が銀河の滝(落差120m)、右が流星の滝(落差90m)である。石狩川に流れ込む2つの支流(それぞれ「雌滝の沢」と「雄滝の沢」)が合流点で一気に流れ落ちてこのような豪快な滝を形成しており、層雲峡の見どころの一つとなっている。地形図を見ると、付近には他にも懸谷と呼べそうな沢がいくつかある。

(2008年5月訪問)

函館山と函館市街

【所在地】
北海道函館市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・陸繋島(海岸近くの島が砂州によって陸続きとなったもの。)
・トンボロ(本土と島を陸続きにする陸繋砂州のこと。)

【コメント】
 世界三大夜景の一つにも挙げられる函館の夜景を鑑賞できるスポットとしてあまりにも有名な函館山は、約3,000年前までは独立した島だったが、次第に砂州が発達して渡島半島と陸続きになった。函館の中心市街地は、こうしてできた砂州(トンボロ)の上に成立している。写真は函館山から見た函館市街で、訪問当時は夜景のことしか頭になかったが、地形の観点から見ても非常に興味深い。

(2010年11月訪問)

襟裳岬

【所在地】
北海道幌泉郡えりも町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・海食崖(海の侵食によってつくられた海岸の崖。波食崖ともいわれる。)

【コメント】
 日高山脈が太平洋に落ち込む場所に位置する襟裳岬周辺は、高さ40〜60mにも達する海食崖が連続している。岬の先端付近の岩場にゼニガタアザラシが多数生息しており、手持ちの一般的なデジカメでも目いっぱい拡大すれば観察・撮影することができた。

(2012年7月訪問)

しのつ湖

【所在地】
北海道石狩郡新篠津村

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・三日月湖(蛇行河川の一部が切断されて残された三日月型の旧流路。)

【コメント】
 しのつ湖は蛇行が激しかった石狩川をショートカットした際にできた三日月湖である。湖の周囲には道の駅「しんしのつ」のほか、キャンプ場やゴルフ場が整備されており、冬には湖でワカサギ釣りも楽しむことができるなど、レジャースポットとなっている。写真は湖に隣接するしのつ公園の展望台から撮影したもの。

(2015年8月訪問)

十勝岳連峰西麓

【所在地】
北海道旭川市、上川郡(石狩国)東川町・東神楽町・美瑛町、空知郡上富良野町・中富良野町、富良野市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・火砕流台地(火砕流堆積物が形づくる台地。)

【コメント】
 富良野から美瑛にかけての丘陵地帯は、日本離れした美しい風景で多くの観光客を魅了しているが、この丘陵地帯は巨大噴火による大規模な火砕流が堆積してできた火砕流台地である。台地の上に形成された現在の十勝岳も火山活動が活発で、大正15年の噴火では融雪型火山泥流が発生して上富良野市街まで到達し、大きな被害をもたらした。写真はフラワーランドかみふらのから撮影したもの。

(2015年8月訪問)

富良野盆地

【所在地】
北海道富良野市、空知郡中富良野町・上富良野町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・構造盆地(構造運動によって形成された盆地。周辺部が断層や褶曲などによって相対的に隆起したもの。)

【コメント】
 北海道の北部から中央部にかけて南北に連なる中央凹地帯の最南端に位置する富良野盆地は、東の麓郷断層、西のナマコ山周辺の複数の断層に囲まれた沈降性の構造盆地であると考えられている。写真は新富良野プリンスホテルから撮影したもの。

(2015年8月訪問)

遊楽部川

【所在地】
北海道二海郡八雲町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・自然河川(人為の加わらない自然状態の河川。原始河川とも言う。)

【コメント】
 日本には自然河川はほとんど存在しないが、遊楽部(ゆうらっぷ)川はダムや堰といった河川構造物が存在せず、秋には10万匹の鮭が遡上して自然産卵し、冬には天然記念物のオオワシやオジロワシが数多く飛来するなど、自然の状態をよく保った貴重な河川である。河川名はアイヌ語で「温泉が下る川」の意で、支流の一つである鉛川の上流には温泉が湧き出ている。写真は遊楽部公園のすぐ近くに架かる立栄(りゅうえい)橋から撮影したもので、よく観察すると護岸ブロックのようなものが見えたが、この程度は御愛嬌かと思われた。

(2015年9月訪問)


春採湖

【所在地】
北海道釧路市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・海跡湖(砂州や砂嘴の発達などが原因で、海の一部が陸に閉じ込められ湖になったもの。)

【コメント】
 訪問時は厳冬期だったため、氷結した湖面に雪が積もってやや分かりづらいが、写真中央の小高い丘の直下に広がる細長い平坦部が春採(はるとり)湖である。釧路市街地の南東部、太平洋のすぐ近くに位置しており、河口部が砂嘴によって閉ざされてできた海跡湖であると考えられている。水深は以前は最深部で9mほどあったが、年々浅くなっているという。春採川が湖の北東部から流入し、湖の西側から流出しているが、後者を通じて海水が入ってくるため、汽水湖となっている。

(2016年1月訪問)

登別地獄谷と鉄泉池

【所在地】
北海道登別市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・爆裂火口(爆発的な火山活動によって生じた火口。主として水蒸気爆発によって山体の一部が吹き飛ばされて生じた火口が多い。)
・間欠泉(周期的に水蒸気や熱水を吹き出す温泉。地下に空洞などがあり、地下水が地熱で暖められ沸騰点に達すると噴出するものが多い。)

【コメント】
 登別地獄谷(写真上)は、登別温泉街の北に位置する日和山の噴火活動によりできた長径約450mの爆裂火口跡である。あちこちに噴気孔や湧出孔があり、硫黄のにおいが立ち込めるなど、まさに地獄さながらの景観が広がっているが、写真上に見えるように遊歩道が整備されており、気軽に散策することができる。遊歩道の先にあるのが、写真下に示した直径約1mの鉄泉池で、周期的に約80度の熱水を噴出する間欠泉となっている。写真は噴出が収まっているときの様子で、湯気が出ているものの、非常に穏やかである。このまましばらく見ていると、少しずつ泡が増え、ついにはボコボコと激しく泡を吹き出しながら熱水が噴出するようになる。ただし、泡の音が激しい程度で、噴水のように吹き上がることはないため、写真のように至近距離で見ていても問題ない。

(2016年4月訪問)

大湯沼

【所在地】
北海道登別市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・爆裂火口(爆発的な火山活動によって生じた火口。主として水蒸気爆発によって山体の一部が吹き飛ばされて生じた火口が多い。)

【コメント】
 大湯沼は、登別温泉街の北に位置する日和山が噴火したときの爆裂火口跡で、周囲約1kmの沼である。沼底からは約130℃の硫黄泉が激しく噴出しており、沼の表面でも温度が約40〜50℃あるため、写真に見える通り湯気が立ち上っている。大湯沼から流れ出す大湯沼川は温泉の川となっており、天然の足湯が楽しめる。

(2016年4月訪問)

十勝岳連峰西麓

【所在地】
北海道旭川市、上川郡(石狩国)東川町・東神楽町・美瑛町、空知郡上富良野町・中富良野町、富良野市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・火砕流台地(火砕流堆積物が形づくる台地。)

【コメント】
 十勝岳連峰西麓の火砕流台地はこのページでも紹介した(「十勝岳連峰西麓」参照)が、今回は上富良野町の道道581号線沿いにある千望峠駐車公園から撮影したものである。後方に見えるのが十勝岳連峰で、その手前に広がる丘陵地帯(火砕流台地)がよく見える。訪問時は快晴で、非常に見晴らしが良かった。

(2016年6月訪問)

十勝岳

【所在地】
上川郡(石狩国)美瑛町、空知郡上富良野町、上川郡(十勝国)新得町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)
・溶岩流(火口から噴出された溶岩が重力によって流下するもの。あるいは、これが冷却固結した岩体を指す。)

【コメント】
 写真は望岳台から見たもので、溶岩円頂丘を成す十勝岳が常時噴煙を上げている様子を眺めることができる。山頂直下に位置するグラウンド火口付近からこの望岳台の辺りまでは、写真からも分かるように溶岩流が分布している。十勝岳は記録が残る近代以降も活発な火山活動が続いており、特に大正15年の噴火では融雪型火山泥流が発生して上富良野市街まで到達し、大きな被害をもたらした。

(2016年6月訪問)

樺戸断層崖

【所在地】
北海道樺戸郡浦臼町・月形町・新十津川町、雨竜郡雨竜町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・活断層崖(活断層によって生じた断層崖のこと。比較的新鮮・明瞭な崖斜面を形成し、その比高も数10m以下と小さいため、低断層崖とも呼ばれる。)

【コメント】
 樺戸断層群は、増毛山地東麓に沿って伸びる「増毛山地東縁断層帯」を構成する活断層の一つで、西側が東側に対して相対的に隆起する逆断層と考えられている。写真は、雨竜町尾白利加付近から西方を見たもので、雨竜町と新十津川町の境を流れる尾白利加川沿いに急崖が見える。これは、参考資料を見る限り、樺戸断層が生じさせた活断層崖と思われる。

(2016年8月訪問)

支笏湖

【所在地】
北海道千歳市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・カルデラ湖(カルデラ内に生じた湖。カルデラ底の全部または大半を占めている場合に言う。)
・カルデラ壁(カルデラの外縁をなす急崖ないしは急斜面。)
・外輪山(火口の噴火口が二重かそれ以上の場合に、これらを取り巻く環状山稜のこと。あるいはカルデラ縁のこと。)

【コメント】
 支笏湖は、4〜5万年前の大爆発によって形成された支笏カルデラに水が溜まってできたカルデラ湖である。湖の周囲は約40km、最大水深は約360mで、日本有数の透明度を誇るとともに、日本最北の不凍湖でもある。当初は円形だったが、カルデラ縁に恵庭岳や風不死(ふっぷし)岳が噴出して、現在のようなくびれた形になったという。写真は国道453号線沿いの展望台から見たもの。

(2016年8月訪問)

オタドマリ沼と沼浦湿原、鬼脇ポン山

【所在地】
北海道利尻郡利尻富士町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・マール(爆発的な噴火によって生じた円形火口で、顕著な環状丘をもたないもの。)
・高層湿原(主として雨水により涵養される湿原。典型的なものでは、時計皿を伏せたドーム状地形が形成され、植生は雨水や雲霧などの降水により養われるため、貧栄養な条件下でのみ生育可能な植生が発達する。)
・スコリア丘(主としてスコリアで形成された砕屑丘。スコリアとは、火山砕屑物のうち、黒〜暗灰色で多孔質、見かけ密度の小さいもの。)

【コメント】
 利尻島の南東部に位置するオタドマリ沼から利尻富士を見たものである。7,000年以上前に発生したマグマ水蒸気爆発によりできたマールに、縄文海進による海面上昇で水がたまり、その後海退して写真のようなオタドマリ沼と沼浦湿原が誕生したという。写真中央に見えるのが利尻富士だが、訪問時は残念ながら雲に隠れて全容を見ることはできなかった。利尻富士の右に見えるのが、平坦に見える山頂が特徴的な鬼脇ポン山で、上記のマールを形成したのと同時期の火山活動によりできたスコリア丘だという。

(2016年8月訪問)

ペシ岬

【所在地】
北海道利尻郡利尻富士町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)

【コメント】
 利尻島の北部に位置するペシ岬は、20万年前から始まった利尻火山の初期火山活動でできた溶岩ドームである。最高点の標高は93mで、遊歩道が整備されている。写真は、利尻島の鴛泊と稚内を結ぶフェリーの船上から撮影したもの。

(2016年8月訪問)

利尻富士とポン山

【所在地】
北海道利尻郡利尻富士町・利尻町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・成層火山(主に同一の火口から噴火を繰り返し、噴出した溶岩流や火山砕屑物が円錐形の火山を形成したもの。)
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)

【コメント】
 写真は、利尻島の鴛泊と稚内を結ぶフェリーの船上から撮影したもので、写真中央やや左にそびえるのが利尻富士、その右に見える低くなだらかな山が(鴛泊)ポン山である。利尻火山は20万年前から火山活動を開始し、4万年前ごろにほぼ現在のような山容を形成したが、最近は活動を停止しているため侵食が進んでおり、山頂部から放射状に深い谷が刻まれている。ポン山は、20万年前から始まった利尻火山の初期火山活動でできた溶岩ドームである。「ポン」とはアイヌ語で(利尻山より)「小さい」の意。

(2016年8月訪問)

利尻富士山麓

【所在地】
北海道利尻郡利尻富士町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・成層火山(主に同一の火口から噴火を繰り返し、噴出した溶岩流や火山砕屑物が円錐形の火山を形成したもの。)
・火山麓扇状地(火山体を侵食する谷を扇頂として形成される扇状地。一般に、火山体の裾野より緩傾斜をなし、扇頂溝の発達が良い。)

【コメント】
 写真は、利尻島の鴛泊と稚内を結ぶフェリーの船上から南東方向を撮影したもので、写真右にそびえるのが利尻富士である。利尻島の地形図を見ると、利尻富士の山頂周囲は急勾配斜面、それより下部では緩勾配斜面となっており、勾配の変化点をかなり明瞭に読み取ることができる。写真でも、山麓の勾配変化点を境に、山頂から続く急勾配斜面と海岸までの緩勾配斜面のコントラストを明瞭に見ることができる。利尻火山は最近は活動を停止しており、山頂部から放射状に激しく侵食が進んでいる。これにより、山麓に緩勾配斜面を成す広大な(火山麓)扇状地を発達させたものと考えられる。

(2016年8月訪問)

ウトナイ湖

【所在地】
北海道苫小牧市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・ラグーン(浅海の一部が砂などによって外界と全部または大部分が隔てられたもの。潟または潟湖ともいう。)
・海跡湖(砂州や砂嘴の発達など何らかの原因で、海の一部が陸に閉じ込められ湖になったもの。ラグーンもこの一種。)

【コメント】
 苫小牧市北東部に位置するウトナイ湖は、面積2.8平方キロ、水深1.3mの潟湖である。日本でも有数の渡り鳥の中継地で、オオハクチョウ、コハクチョウ、マガンなど250種類以上の鳥類が確認されており、1991年にラムサール条約による国際的な保護湿地として登録された。訪問時も、10羽ほどのハクチョウが湖岸で羽を休めていた。写真は道の駅「ウトナイ湖」から撮影したもの。

(2016年9月訪問)

羊蹄山

【所在地】
北海道虻田郡倶知安町・ニセコ町・真狩村・喜茂別町・京極町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・成層火山(主に同一の火口から噴火を繰り返し、噴出した溶岩流や火山砕屑物が円錐形の火山を形成したもの。)

【コメント】
 後志地方に位置する羊蹄山は、富士山に似たその端麗な山容から「蝦夷富士」とも称され、日本百名山の一つに選定されている。山麓には、京極町のふきだし公園など、羊蹄山からの豊富な水が湧き出る場所がある。写真は山の西方から見たもので、このように遠目には美しい山容だが、地形図を見ると山頂付近から放射状にガリーが発達していることが分かる。

(2016年9月訪問)

神仙沼と神仙沼湿原

【所在地】
北海道岩内郡共和町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩台地(溶岩流によってつくられたほぼ平坦な台地。)
・高層湿原(主として雨水により涵養される湿原。典型的なものでは、時計皿を伏せたドーム状地形が形成され、植生は雨水や雲霧などの降水により養われるため、貧栄養な条件下でのみ生育可能な植生が発達する。)
・池塘(高位泥炭地内にある池沼。)

【コメント】
 ニセコ山系にある湖沼の中で最も美しいとされる神仙沼(写真上)は、その南方に位置するチセヌプリの北側斜面が山体崩壊を起こして流下した岩屑なだれ堆積物上にできた沼である。道道66号線沿いにあるレストハウスから神仙沼まで木道が整備されており、気軽に散策することができる。「神仙沼」の名は、その神秘的な表情から神々や仙人が住むようだというところから付けられたという。神仙沼に向かう木道の途中には神仙沼湿原と呼ばれる高層湿原が広がっており、多数の池塘が点在している(写真下)。写真下の後方にそびえるのがチセヌプリで、地形図を見るとスプーン状にえぐられたような跡があるのが山体崩壊の跡である。写真下でチセヌプリと神仙沼湿原の間に見える小丘も岩屑なだれ堆積物である。「チセヌプリ」とは「チセ(アイヌの伝統家屋)の形をした山」を意味するという。

(2016年9月訪問)

駒ヶ岳と大沼

【所在地】
北海道亀田郡七飯町、茅部郡森町・鹿部町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・成層火山(主に同一の火口から噴火を繰り返し、噴出した溶岩流や火山砕屑物が円錐形の火山を形成したもの。)
・堰止湖(河川水が、何らかの自然現象が原因でせき止められ生じた湖。)
・流れ山(岩屑なだれ堆積物によって形成された小丘。)

【コメント】
 駒ヶ岳は約3万年以上前に噴火活動を開始し、現在も火山活動が断続的に続く活火山である。1640年の噴火では、山頂の南側で山体崩壊が発生して大量の土砂が折戸川をせき止め、大沼、小沼とそれらの中に点在する島々(流れ山)を形成した。このときの噴火では、山頂の東側でも山体崩壊が発生し、土砂が内浦湾に達して大津波を起こしている。これにより、西の剣ヶ峯、北の砂原岳の2つの峰から成る現在のような山容となり、山頂付近には馬蹄形カルデラと呼ばれる特徴的な凹地ができた。

 写真上は、観光客も多く訪れる大沼公園散策路から撮影したものである。やや見えづらいが、後方にそびえるのが駒ヶ岳で、その山体崩壊により形成された多数の流れ山が、大沼に浮かぶ多数の小島として観察できる。大沼、小沼と、その西方に位置する蓴菜(じゅんさい)沼の3湖沼には、126もの島々があるという。写真下は日暮山展望台から見たもので、左手に駒ヶ岳、右手奥に大沼、右手前に小沼が見える。大沼、小沼と、その独特な景観を形成する要因となった駒ヶ岳との位置関係がよく分かる。

(2016年11月訪問)

釧路湿原

【所在地】
北海道釧路市、川上郡標茶町、阿寒郡鶴居村、釧路郡釧路町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・低層湿原(湖沼や河川の水辺、地下水の浅い土地に発達する平坦な湿原。周囲より標高が低く、水が流れ込んでくるため、栄養に富む。)

【コメント】
 釧路湿原は日本最大の湿原で、ヨシ・スゲ湿原、ミズゴケ湿原およびハンノキ林から成り、湿原の中を釧路川が大きく蛇行しながら流れている。約6千年前には「古釧路湾」と呼ばれる海であったが、海退ととともに泥炭が堆積して現在のような湿原が形成された。湿原の中央北部には小高い丘陵地が細長く湿原に突き出たような地形があるが、湿原を海とみなしたのか、「宮島岬」「キラコタン岬」と名づけられている。写真は細岡展望台から見たもの。

(2017年2月訪問)

マクンベツ湿原

【所在地】
北海道石狩市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・低層湿原(湖沼や河川の水辺、地下水の浅い土地に発達する平坦な湿原。周囲より標高が低く、水が流れ込んでくるため、栄養に富む。)

【コメント】
 マクンベツ湿原は石狩川最下流部に広がる約130haの低層湿原で、植生はハンノキ林とヨシ群落が主となっている。道道508号線から石狩川に向けて、湿原内を木道が整備されており、気軽に散策することができる。訪問時はハンノキ林の中でミズバショウが見ごろを迎えており、大勢の観光客でにぎわっていた。

(2017年4月訪問)

一番川合流点付近の当別断層崖

【所在地】
北海道石狩郡当別町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・活断層崖(活断層によって生じた断層崖のこと。比較的新鮮・明瞭な崖斜面を形成し、その比高も数10m以下と小さいため、低断層崖とも呼ばれる。)

【コメント】
 当別断層は、増毛山地南部の当別川上流部から月形町西方の石狩平野西縁部にかけて南北方向に分布する活断層で、西側隆起の逆断層である。写真は、南流する当別川に向かって東方から一番川が合流する付近から北方を撮影したもので、写真奥に向かって一直線に伸びる崖を確認することができる。これが当別断層の活動により形成された活断層崖である。

(2017年8月訪問)

洞爺湖

【所在地】
北海道虻田郡洞爺湖町、有珠郡壮瞥町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・カルデラ湖(カルデラ内に生じた湖。カルデラ底の全部または大半を占めている場合に言う。)
・カルデラ壁(カルデラの外縁をなす急崖ないしは急斜面。)
・外輪山(火口の噴火口が二重かそれ以上の場合に、これらを取り巻く環状山稜のこと。あるいはカルデラ縁のこと。)
・中央火口丘(火山の火口中央部やカルデラ内部中央付近に形成される小型の火山。)
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)
・火山砕屑丘(降下火砕物が火山周辺で形成した円錐形ないし類似の高まりのこと。火砕丘、砕屑丘、ホマーテともいう。また、火砕物の種類によって、軽石丘、スコリア丘などとも呼ばれる。)

【コメント】
 東西約11km、南北約9kmのほぼ円形を成す洞爺湖は、約11万年前の巨大噴火により形成されたカルデラ湖である。湖の中央に浮かぶ4つの島(総称して「中島」と呼ばれる)は、約5万年前の火山噴火に伴って形成された溶岩ドームや火砕丘であり、他に湖面に顔を出していないものも含めると全部で11個の火山体が確認されている。写真は洞爺湖北西岸にあるサイロ展望台から撮影したもの。

(2017年8月訪問)

昭和新山

【所在地】
北海道有珠郡壮瞥町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)
・火山岩尖(粘性の高い溶岩が火道から地表に押し出され生じた岩塔のこと。火山岩塔、ベロニーテともいう。)

【コメント】
 昭和新山は、有珠山の1944-45年噴火により、もともと畑だったところが隆起して形成された溶岩ドームである。1945年9月までに標高407mまで成長したが、その後冷却して沈降し、現在は標高398mである。一連の噴火活動・地殻変動は、地元の郵便局長であった三松正夫氏によって克明に記録され(ミマツダイヤグラム)、貴重な学術的記録となっている。山体の独特な赤褐色は、成長の過程で地中の粘土が熱で焼きついたものである。写真は、昭和新山駐車場から撮影したもの。

(2017年8月訪問)

有珠山

【所在地】
北海道有珠郡壮瞥町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・複式火山(最初に形成された火山体の内側に、より小さな火山体が形成された火山、またはこの繰り返しによって形成された火山。)
・火口(地下のマグマや火山ガスが地表に噴出される場所。)
・中央火口丘(火山の火口中央部やカルデラ内部中央付近に形成される小型の火山。)
・火口原(大きな火口やカルデラ内において、平坦に広がった部分。特にカルデラでは、中央火口丘とカルデラ壁との間に発達する場合が多い。)
・外輪山(火口の噴火口が二重かそれ以上の場合に、これらを取り巻く環状山稜のこと。あるいはカルデラ縁のこと。)
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)
・潜在円頂丘(マグマが地表付近にまで上昇し形成したドーム状の丘。粘性の大きなマグマによって形成されることが多い。潜在ドームともいう。)

【コメント】
 2万年前に洞爺湖の南側で始まった火山活動により誕生した有珠山は、その後7千年もの間静穏を保っていたが、1663年に比較的大規模な噴火を起こしてからは、頻繁に噴火を繰り返すようになった。写真は、有珠山ロープウェイの山頂駅から少し歩いたところにある火口原展望台(有珠山の南東外輪山にあたる)から見たもので、写真ほぼ中央に銀沼大火口(1977-78年噴火で形成)、右手に小有珠(1769年噴火で形成)、有珠新山(潜在ドーム;1977-78年噴火で形成)、大有珠(1853年噴火で形成)といった溶岩ドーム群が見える。

(2017年8月訪問)

 


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