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談話室その5

典型地形が織り成す情景

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おせんころがし

【所在地】
千葉県勝浦市、鴨川市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・海食崖(海の侵食によってつくられた海岸の崖。波食崖ともいわれる。)
・波食棚(海食崖から沖側に広がる平坦な岩床面。ベンチあるいは海食棚とも呼ばれる。)

【コメント】
 勝浦市から鴨川市にかけて、約4kmにわたって断崖が続いている。昔から交通の難所だったが、今はトンネルで通過する国道や鉄道が通じて解消された。「おせん」というのは昔この地に住んでいたという娘の名で、物語の展開にはいくつかあるが、とにかくこの断崖から転げ落ちて死んでしまったという悲しい伝説がある。

(2008年3月訪問)

大涌谷

【所在地】
神奈川県足柄下郡箱根町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・爆裂火口(爆発的な火山活動によって生じた火口。主として水蒸気爆発によって山体の一部が吹き飛ばされて生じた火口が多い。)

【コメント】
 箱根の観光地の一つとして有名な大涌谷は、約3,000年前に神山が水蒸気爆発を起こしたときの爆裂火口跡である。今も白い噴煙を上げており、周囲には硫黄の匂いが立ち込めている。かつては「大地獄」と呼ばれていたが、明治天皇の行幸に際し「大涌谷」と改称された。温泉の熱で作った黒たまごが名物。

(2011年1月訪問)

芦ノ湖

【所在地】
神奈川県足柄下郡箱根町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・火口原湖(火口原に水をたたえることで生じた湖。)
・堰止湖(河川水が、何らかの自然現象が原因でせき止められ生じた湖。)

【コメント】
 神山が約3,000年前に水蒸気爆発により山体崩壊を起こし、崩れた土砂が早川をせき止めて誕生した。湖に流入する大きな河川はなく、水源の大部分が湖底からの湧水という。写真は恩賜箱根公園から俯瞰したもの。

(2011年1月訪問)

駒ヶ岳・二子山

【所在地】
神奈川県足柄下郡箱根町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・中央火口丘(火山の火口中央部やカルデラ内部中央付近に形成される小型の火山。)
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)

【コメント】
 写真は元箱根付近から撮影したもので、向かって左(北側)が駒ヶ岳、右が二子山(上二子山、下二子山)である。駒ヶ岳の北に位置する神山や台ヶ岳とともに、箱根火山の中央火口丘を形成している。特徴的な山容の山が並んでおり、地形図上でも特異な景観を成している。

(2011年1月訪問)

浅間山と鬼押出

【所在地】
群馬県吾妻郡嬬恋村、長野県北佐久郡御代田町・軽井沢町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・成層火山(主に同一の火口から噴火を繰り返し、噴出した溶岩流や火山砕屑物が円錐形の火山を形成したもの。)
・溶岩流(火口から噴出された溶岩が重力によって流下するもの。あるいは、これが冷却固結した岩体。)

【コメント】
 写真上は鬼押出し園から撮影したものである。霞んでいてやや見づらいが、後方に見える浅間山が1783年に大噴火を起こして流れ出た溶岩流が辺り一面を覆っており、荒涼とした景観を作り出している。火口で鬼が暴れて岩を押し出したと言われたところからこの名が付いた。

 写真下は、別の機会に、鬼押ハイウェイの途中にある浅間六里ヶ原休憩所から浅間山を見たものである。浅間山は火山活動が活発で、写真では分かりづらいが今も噴煙を上げている。1783年の天明大噴火では、旧・鎌原村(現・嬬恋村)が火砕流に飲み込まれただけでなく、下流の利根川流域に河床上昇をもたらして洪水激化の原因となるなど、広範囲に直接・間接の被害をもたらした。国や沿線自治体などでは、大噴火に備えて、防災対策を進めている。

(2011年4月、2013年11月訪問)

江の島

【所在地】
神奈川県藤沢市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・陸繋島(海岸近くの島が砂州によって陸続きとなったもの。)
・トンボロ(本土と島を陸続きにする陸繋砂州のこと。)
・隆起ベンチ(波食棚が隆起や海面低下によって海面上に現れた地形。)

【コメント】
 湘南を代表する観光地の一つで、多くの観光客でにぎわう江の島は、地形学的には陸繋島に分類される。写真上は江の島シーキャンドル(展望灯台)から北方を見たもので、このときは江の島と対岸との間は海で分断されており、江の島はまさしく「島」となっているが、干潮時には砂州(トンボロ)が現れて陸続きになるという。

 写真下は逆に南方を見たもので、隆起ベンチが広がっている様子が見て取れる。江の島は1923年の関東大震災で島全体が隆起し、波食棚が海面上に現れたという。なお、写真中央やや上の水平線上にうっすら見える島影は、伊豆大島である。

 このほか、写真にはないが、島の西南部には「岩屋」と呼ばれる隆起海食洞も見られるなど、江の島は地形学的にも興味深いスポットと言える。

(2011年7月訪問)

三原山と裏砂漠

【所在地】
東京島大島町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・複式火山(最初に形成された火山体の内側に、より小さな火山体が形成された火山、またはこの繰り返しによって形成された火山。)
・カルデラ(火口状の凹地で、通常の火口より大きいもの。一般に、直径が2qより大きいものをいう。)
・カルデラ壁(カルデラの外縁をなす急崖ないしは急斜面。)
・中央火口丘(火山の火口中央部やカルデラ内部中央付近に形成される小型の火山。)
・火口原(大きな火口あるいはカルデラ内において、平坦に広がった部分。特にカルデラでは、中央火口丘とカルデラ壁との間に発達する場合が多い。)
・外輪山(火口の噴火口が二重かそれ以上の場合に、これらを取り巻く環状山稜のこと。あるいはカルデラ縁のこと。)
・溶岩流(火口から噴出された溶岩が重力によって流下するもの。あるいは、これが冷却固結した岩体を指す。)

【コメント】
 1986年に大噴火を起こし、全島民約1万人が約1ヶ月間の島外避難を余儀なくされたことも記憶に新しい伊豆大島の三原山は、活発な火山活動を繰り返している活火山である。古くから島民は噴火を「御神火(ごじんか)」と呼び、あがめてきたという。

 写真上は三原山北西部のカルデラ壁上にある御神火茶屋付近から撮影したもので、カルデラ内にある中央火口丘と、それを取り巻く火口原がよく見える。山頂付近から垂れるように見える黒っぽい筋は、1986年噴火時の溶岩流で、植生がまだ回復していないことが分かる。

 写真下は三原山東部に広がる「裏砂漠」から西方を見たもので、右に見えるのが三原山、左に見えるのが白石山などから成るカルデラ壁である。写真からも分かるように、裏砂漠付近はスコリアと呼ばれる黒っぽい火山砕屑物で一面覆われており、地球上とは思えないような景観を作り出している。ちなみに、裏砂漠は、国土地理院の地形図で日本で唯一「砂漠」と表記されている場所である。

 なお、写真上にも見えるように、三原山頂へと通じる登山道が整備されており、山頂には噴火口を至近距離で観察できる火口展望台があるが、訪問時はこの写真を撮影した後ににわかに深い霧に覆われ、火口展望台からでも噴火口を見ることはできなかった。

(2011年7月訪問)

波浮湾

【所在地】
東京島大島町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・マール(爆発的な噴火によって生じた円形火口で、顕著な環状丘をもたないもの。)

【コメント】
 838年にマグマ水蒸気爆発でできたマールに雨水が溜まり、池(波浮の池)ができた後、1703年の元禄大地震に伴う津波により池が決壊して海とつながった。さらに、1800年に人力で岩を砕いて湾が広げられ、港(波浮港)として利用されるようになった。火口の形状を今にとどめており、美しい。都道208号線(大島一周道路)沿いに展望所(波浮港見晴台)が整備されている。

(2011年7月訪問)

長瀞

【所在地】
埼玉県秩父郡長瀞町・皆野町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・瀞(河川が深くて、流れが穏やかなところ。)
・函(両岸を岸壁に囲まれた渓谷のこと。)

【コメント】
 長瀞は荒川中流域にある景勝地で、その名の通り函を流れる瀞が続いている。川岸には隆起した結晶片岩が地表に現れた「岩畳」と呼ばれる景観が広がっている。長瀞の渓谷美を鑑賞できる長瀞ライン下りが有名。

(2011年11月訪問)

鋸山

【所在地】
千葉県富津市、安房郡鋸南町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・鋸歯状山稜(のこぎりの刃のように鋭くとがった峰が連続する急峻な山稜のこと。)

【コメント】
 鋸山は、その名の通り、鋸歯状山稜を持つ山で、地形図を見ると、山頂以外にも小ピークが複数連なっており、一つ一つが「鋸の刃」となっていることが分かる。山全体を境内とする日本寺があるほか、石材採掘の地としても有名で、採石場跡の断崖絶壁に突き出した岩の先端から約100m下を覗き込むスリル満点の「地獄のぞき」などが楽しめる。写真はJR浜金谷駅の跨線橋から見たもの。

(2012年2月訪問)

真鶴岬

【所在地】
神奈川県足柄下郡真鶴町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩流(火口から噴出された溶岩が重力によって流下するもの。あるいは、これが冷却固結した岩体。)

【コメント】
 写真は十国峠から西方を見たものである。写真ほぼ中央に海に突き出るように伸びている真鶴岬は、箱根火山が噴出した安山岩質の溶岩流によって形成されたものである。地形図を見ると、岬の海岸線は「岩がけ」が多く、また海岸沿いには「隠顕岩」が多く描かれており、溶岩らしさが感じられる。

(2012年6月訪問)

草津白根山

【所在地】
群馬県吾妻郡草津町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・火山砕屑丘(降下火砕物が火山周辺で形成した円錐形ないし類似の高まりのこと。火砕丘、砕屑丘、ホマーテとも言う。)
・火口湖(火山の噴火口に水をたたえて生じた湖。)
・マール(爆発的な噴火によって生じた円形火口で、顕著な環状丘をもたないもの。)

【コメント】
 写真上は「湯釜」と呼ばれる草津白根山の火口湖である。湖水は乳白がかった青緑色で、強酸性(pH1.0前後)のために湖の周囲には植物が一切生えておらず、神秘的な光景を作り出している。写真をよく見ると、湯釜の手前にも小さな湖があるが、これも「涸釜」と呼ばれる火口湖である。麓にある駐車場から遊歩道が整備されており、比較的容易に訪問することができる。

 写真下は、その遊歩道の途中から南方を見たもので、駐車場の右手奥にマールである「弓池」が見えている。池の周囲は湿地帯となっており、散策のための木道が整備されている。弓池のやや左後方に見えるのが、火山砕屑丘の「逢ノ峰」である。

 湯釜と弓池は、わずか数百メートル離れているだけにもかかわらず、そのあまりの違いに驚かされるが、湯釜は湖底から火山ガスや温泉水が直接混じっているのに対し、弓池は天水から形成されているためという。

(2013年11月訪問)

浅間山熔岩樹型

【所在地】
群馬県吾妻郡嬬恋村

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩樹型(溶岩流に取り込まれた樹木によって形成された空洞。)

【コメント】
 1783年の浅間山噴火により形成された溶岩樹型で、別荘地帯の中に見学場所が設けられている。この付近には全部で約500の溶岩樹型があり、直径は50〜200p、深さは3〜7mに及んでいるという。写真に示した溶岩樹型は見学場所の入り口付近にあるもので、周囲に柵がしてあるものの、容易に観察できたが、それ以外のものについては、時節柄、落ち葉よけのためと思われるネットの上に落ち葉が降り積もっており、非常に観察しづらかった。

(2013年11月訪問)

九十九里浜

【所在地】
千葉県旭市、匝瑳市、山武市、大網白里市、山武郡横芝光町・九十九里町、長生郡白子町・長生村・一宮町、いすみ市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・砂浜(砂(粒径が2〜1/16mm)が多く堆積している浜のこと。)
・砂浜海岸(沿岸流や波などによって運ばれた主に砂から成る海岸。)
・浜堤(海岸の汀線付近に形成される砂礫から成る堤状の地形。湖岸に形成されることもある。)
・海岸平野(海岸に沿い、主に海の営力によってつくられた平野。浅く平坦な海底の一部が、海面低下や地盤の隆起運動により海面上に生じた低平な地域を指す。)

【コメント】
 九十九里浜は房総半島東岸に伸びる全長60キロメートルほどの砂浜海岸である。その陸側に広がる九十九里浜平野には、写真からも分かる通り、集落が海岸線に平行に幾列も並んでいる。これらの集落は、微高地である浜堤の上に成立しており、過去にそこが海岸線だった時代があることを物語っている。約6,000年の間に海岸線が徐々に後退していったために、現在のような幾列もの浜堤群と典型的な海岸平野が形成されたという。写真は成田空港に向かう飛行機から撮影したもの。

(2016年12月訪問)

 


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