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談話室その5

典型地形が織り成す情景

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鳴沢氷穴・富岳風穴・西湖蝙蝠穴

 


鳴沢氷穴


富岳風穴


西湖蝙蝠穴

 

【所在地】
山梨県南都留郡鳴沢村・富士河口湖町

【地形図】
周辺の地形図(鳴沢氷穴・富岳風穴)
周辺の地形図(西湖蝙蝠穴)
(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩トンネル(溶岩流の内部に生じたトンネル状の空洞。溶岩洞、溶岩チューブともいわれる。)
・風穴(山腹や山麓などで見られる空洞で、一般には夏に冷気などを吹き出すもの。)

【コメント】
 富士山周辺には、864年の大噴火(貞観大噴火)の際に流れ下った溶岩が少しずつ冷え固まる際に、内部の高温のガスや冷え切らない溶岩が抜けて形成された溶岩トンネルが多数見られる。写真に示した鳴沢氷穴、富岳風穴、西湖蝙蝠穴もその一つで、溶岩トンネル特有の溶岩棚、縄状溶岩などが見られる。

 鳴沢氷穴や富岳風穴では、内部の気温が年間を通じて平均0℃前後に保たれており、洞内には天井から浸み出して滴り落ちた水滴が凍ってできた氷柱が見られるほか、氷の貯蔵庫や天然冷蔵庫がある。

 一方、西湖蝙蝠穴は、上記2穴に比べて温暖なため、蝙蝠の生息が確認されている。一時、絶滅寸前まで追い詰められたが、関係者による保護活動により、少しずつ洞内に戻り始めているという。

(2010年3月訪問)

浅間山と鬼押出

【所在地】
群馬県吾妻郡嬬恋村、長野県北佐久郡御代田町・軽井沢町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・成層火山(主に同一の火口から噴火を繰り返し、噴出した溶岩流や火山砕屑物が円錐形の火山を形成したもの。)
・溶岩流(火口から噴出された溶岩が重力によって流下するもの。あるいは、これが冷却固結した岩体。)

【コメント】
 写真上は鬼押出し園から撮影したものである。霞んでいてやや見づらいが、後方に見える浅間山が1783年に大噴火を起こして流れ出た溶岩流が辺り一面を覆っており、荒涼とした景観を作り出している。火口で鬼が暴れて岩を押し出したと言われたところからこの名が付いた。

 写真下は、別の機会に、鬼押ハイウェイの途中にある浅間六里ヶ原休憩所から浅間山を見たものである。浅間山は火山活動が活発で、写真では分かりづらいが今も噴煙を上げている。1783年の天明大噴火では、旧・鎌原村(現・嬬恋村)が火砕流に飲み込まれただけでなく、下流の利根川流域に河床上昇をもたらして洪水激化の原因となるなど、広範囲に直接・間接の被害をもたらした。国や沿線自治体などでは、大噴火に備えて、防災対策を進めている。

(2011年4月、2013年11月訪問)

富士山と富士五湖


河口湖


西湖


精進湖


本栖湖


山中湖

【所在地】
山梨県富士吉田市、南都留郡富士河口湖町・山中湖村・鳴沢村、南巨摩郡身延町、静岡県富士宮市、裾野市、富士市、御殿場市、駿東郡小山町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・成層火山(主に同一の火口から噴火を繰り返し、噴出した溶岩流や火山砕屑物が円錐形の火山を形成したもの。)
・単式火山(一つの火道から生じた火山のこと。)
・堰止湖(河川水が、何らかの自然現象が原因でせき止められ生じた湖。)

【コメント】
 日本の最高峰である富士山は、その端正で優美な山容でも知られ、日本の象徴の一つにもなっている。地形図を見ても、同心円状の等高線が幾重にも連なる様は圧巻の美しさである。その一方で、これまで幾度となく噴火を繰り返し、その山容や周囲の景観を一変させてきたことも明らかにされており、今後も噴火に対する警戒が必要とされている。

 河口湖、西湖、精進湖、本栖湖、山中湖から成る富士五湖は、いずれも富士山の溶岩によりできた堰止湖である。写真は、富士山を背景に、これら五湖を撮影したものである。このうち、西湖、精進湖、本栖湖の三湖は、水面の標高がいずれも約900mであり、もともと「剗(せ)の海」と呼ばれる一つの大きな湖であったものが、度重なる富士山の噴火に伴う溶岩により3つに分断されたものの、地下で水脈がつながっていると考えられている。

 2013年6月、富士山と富士五湖は、関連する文化財等とともに、世界文化遺産に登録された。

(2011年12月訪問)

焼岳と大正池

【所在地】
長野県松本市、岐阜県高山市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)
・堰止湖(河川水が、何らかの自然現象が原因でせき止められ生じた湖。)

【コメント】
 写真後方に写る焼岳は、今も噴煙を上げる活発な活火山で、溶岩の粘性が高いため、溶岩ドームを形成する。一方、上高地の中でも有名な観光スポットである大正池は、その焼岳が1915年に大噴火を起こした際に、大量の泥流が梓川を堰き止めてできた。上流から土砂が流入し続けており、池は少しずつ小さくなっているという。

(2012年10月訪問)

穂高連峰と岳沢カール

【所在地】
長野県松本市、岐阜県高山市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・カール(高山の山稜直下などにみられる、椀状で山麓方向に開いた谷のこと。圏谷とも呼ばれる。氷食地形の一つ。)
・鋸歯状山稜(のこぎりの刃のように鋭くとがった峰が連続する急峻な山稜のこと。)

【コメント】
 写真は上高地の河童橋付近から穂高連峰を見たものである。中央に見える岳沢(だけさわ)は、氷河の侵食作用により形成されたカールで、地形図を見ても見事な椀状地形を呈している。また、西穂高岳、奥穂高岳、前穂高岳などからなる山稜は、3,000m前後の小ピークが連続しており、まさしく鋸の刃状になっている。このうち、奥穂高岳から前穂高岳にかけては、「吊尾根」と呼ばれている。

(2012年10月訪問)

権現岳

【所在地】
新潟県糸魚川市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・アバランチシュート(雪崩の路のこと。雪崩が同じ場所で繰り返されると、樋状の凹地が細長く形成され、無雪期には滑り磨かれた岩肌を見せることが多い。)
・万年雪(平年の気候状態にあって、積雪か残雪または氷塊として越年するものをいう。)

【コメント】
 ヒン岩から成る権現岳は雪崩の頻発地で、アバランチシュートが発達している。地形図を見ると、アバランチシュートを意識してか、「岩」の記号が溝状に並んでおり、芸の細かさに感動する。1986年には大規模な雪崩が発生し、麓にある柵口(ませぐち)集落を襲って大きな被害をもたらした。雪崩により大量の雪が斜面直下に堆積するため、万年雪が見られる。糸魚川ジオパークの「権現岳ジオサイト」の見どころの一つ。

(2013年5月訪問)

津南町の河岸段丘

【所在地】
新潟県中魚沼郡津南町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・河岸段丘(河川に沿って平坦面と急崖が階段状に連続する地形。河成段丘ともいい、平坦面は段丘面、急崖は段丘崖という。)

【コメント】
 信濃川とその支流によって見事な河岸段丘が形成されている。地形図で見ても、等高線の疎な白っぽい段丘面と等高線の密な段丘崖が繰り返し現れ、美しい。9段にも達する段丘数や段丘崖の高さなどから、日本最大級の河岸段丘と言われている。

(2013年9月訪問)

月不見の池

【所在地】
新潟県糸魚川市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・地すべり凹地(地すべりが原因で生じた凹地のこと。凹地に水がたまり、沼を形成することも少なくない。)

【コメント】
 月不見の池は、巨大な地すべりで生じた窪地に湧水がたまってできた。もともと斜面にあった大昔の海底火山由来の岩盤が地すべりで壊れながら移動してきたため、池の周囲には数多くの巨岩が見られる。地形図を見ると、滑落崖(見滝大滝付近から両側に連なる急崖)、流れ山(見滝付近の高まり)、地すべり凹地(月不見の池)などが明瞭に読み取れ、地すべり地形の典型と言える。糸魚川ジオパークの「月不見の池ジオサイト」の見どころの一つ。

(2013年9月訪問)

妙高山

【所在地】
新潟県妙高市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・成層火山(主に同一の火口から噴火を繰り返し、噴出した溶岩流や火山砕屑物が円錐形の火山を形成したもの。)
・カルデラ(火口状の凹地で、通常の火口より大きいもの。一般に、直径が2qより大きいものをいう。)
・カルデラ壁(カルデラの外縁をなす急崖ないしは急斜面。)
・中央火口丘(火山の火口中央部やカルデラ内部中央付近に形成される小型の火山。)
・外輪山(火口の噴火口が二重かそれ以上の場合に、これらを取り巻く環状山稜のこと。あるいはカルデラ縁のこと。)

【コメント】
 写真は、東麓にあるいもり池から妙高山を見たものである。やや分かりづらいが、中央に見えるのが中央火口丘である妙高山で、そのすぐ左右に見えるのがそれぞれ外輪山を成す赤倉山と前山である。妙高山は別名「越後富士」とも呼ばれ、頸城三山の一つであり、日本百名山の一つにも数えられる。

(2013年11月訪問)

戸隠連峰

【所在地】
長野県長野市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・鋸歯状山稜(のこぎりの刃のように鋭くとがった峰が連続する急峻な山稜のこと。)

【コメント】
 長野県北部から新潟県境にかけて連なる戸隠連峰は、写真のように急峻な岩峰が連続した鋸歯状山稜となっている。古くから修験道の霊場として知られ、付近には五つの社が点在している。写真は、そのうちの一つである戸隠奥社から撮影したもの。

(2013年11月訪問)

涌池

【所在地】
長野県長野市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・地すべり凹地(地すべりが原因で生じた凹地のこと。凹地に水がたまり、沼を形成することも少なくない。)

【コメント】
 1847年に発生した善光寺地震により、写真後方にある虚空蔵山(岩倉山)が地すべりを起こし、それによって生じた地すべり凹地に水がたまってできた。現在、池の水は灌漑用水として利用されている。

(2013年12月訪問)

米山川

【所在地】
新潟県上越市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・河川争奪(隣り合う河川が、侵食量の差によって一方が他方の上流部分を奪い取ること。)
・無能河川(河川争奪により上流域を争奪され、谷の広さの割に水量が少なくなった河川。)
・争奪の肘(河川争奪により上流域を奪われた河川の方向に対して、奪った河川が直角あるいは鋭角的に流れを変える地点。)
・谷中分水界(一つの連続した谷の中にある分水界。)

【コメント】
 米山川は米山に源を発する小河川で、かつては小萱集落からほぼ西に流れて下中山集落を経て日本海に注いでいたが、河川争奪により現在は両集落の途中で突然南に向きを変え(争奪の肘)、雁海集落を経て日本海に注いでいる。写真は争奪の肘付近から下流側を見たもので、非常に分かりづらいが、写真ほぼ中央に見える小山の右側がかつて米山川が流れ、現在はほとんど流れのない谷(無能河川)、左側が現在の米山川の流れる谷である。

(2014年1月訪問)

柳久保池

【所在地】
長野県長野市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・堰止湖(河川水が、何らかの自然現象が原因でせき止められ生じた湖。)

【コメント】
 1847年に発生した善光寺地震により、池東方にある白石山が崩壊し、土砂が柳久保川を堰き止めてできた。湛水に3ヶ月を要し、その後決壊することなく現在に至っている。訪問時は積雪により近づくことができなかった。シナノユキマスが釣れる池としても有名。

(2014年1月訪問)

大沢鍾乳洞

【所在地】
新潟県五泉市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・鍾乳洞(石灰岩類が溶食されて形成された洞穴。)

【コメント】
 一般的な鍾乳洞は古生代後期の石灰岩地域に分布するが、大沢鍾乳洞は新生代新第三紀鮮新世という新しい時代の半固結の石灰質砂岩に形成されているという点で非常に珍しい。写真のような洞口がぽっかりと開いており、懐中電灯も持たずに入ろうとしたが、内部は当然ながら真っ暗で、1mも進めずに退却した。

(2014年4月訪問)

長原台地

【所在地】
長野県上水内郡信濃町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・溶岩流(火口から噴出された溶岩が重力によって流下するもの。あるいは、これが冷却固結した岩体。)
・溶岩台地(溶岩流によってつくられたほぼ平坦な台地。)
・溶岩末端崖(溶岩流の末端に生じた崖。)

【コメント】
 黒姫火山から噴出した溶岩流のうち、火口から最も遠くまで到達したと考えられる長原溶岩は、今も当時の地形をよく保存している。写真は信濃町の仁ノ倉集落付近から見たもので、右手に見える黒姫山の左手に見える台地状の高まりが長原溶岩である。地形図で見ると、舌状に伸びた台地が、時が止まったかのように固まった溶岩流を想像させる。現地に行ってみたものの、残念ながら地形図を見たほうが分かりやすいと思われた。

(2014年4月訪問)

旧保倉川

【所在地】
新潟県上越市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・三日月湖(蛇行河川の一部が切断されて残された三日月型の旧流路。)

【コメント】
 写真は上越市鵜ノ木付近に残る三日月湖である。高田平野を流れる保倉川は蛇行の激しい河川(これを「旧保倉川」と呼ぶ)であったが、昭和30年代に河川改修が施され、流路が人工的にカットされたため、写真のような三日月湖が残された。現在、湖周辺は「鵜ノ木水辺の郷」として整備されている。

(2014年4月訪問)

上越市頸城区上池田付近の浜堤

【所在地】
新潟県上越市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・浜堤(海岸の汀線付近に形成される砂礫から成る堤状の地形。湖岸に形成されることもある。)

【コメント】
 新潟県上越市の頸城区から大潟区にかけては、今でこそ一面の水田地帯となっているが、江戸時代前期までは「大潟」と呼ばれるラグーンが広がっていた。大潟の範囲は、頸城区下柳町から片津、上池田、上増田、下増田、さらに大潟区の和泉新田、米倉新田、潟田へと連続する馬蹄形の微高地に囲まれた凹地として容易に復原できる。写真は、頸城区の上池田付近を見たもので、微高地と旧・大潟の湖面(水田部分)との境に発達した浜堤を明瞭に確認することができる。なお、この高まりについては、浜堤ではなく、湖岸段丘や波食崖とする説もあるが、ここでは「続・新潟のすぐれた自然(地形・地質編)」(環境保健部環境保全課、1993年)に従って浜堤とした。

(2014年4月訪問)

諏訪湖

【所在地】
長野県岡谷市、諏訪市、諏訪郡下諏訪町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・構造湖(大規模な構造運動や断層運動によって形成された盆地に生じた湖。)
・断層湖(断層によって形成された凹地に生じた湖。)

【コメント】
 糸魚川−静岡構造線の断層運動によって地殻が引き裂かれ、生じた窪地に水がたまってできた断層湖である。冬期には、全面的に凍結した湖面が昼夜の気温差により膨張・収縮し、湖面に亀裂が走る「御神渡り(おみわたり)」という現象が見られることで有名。写真は、中央自動車道の諏訪湖SAから撮影したもの。

(2014年5月訪問)

須玉川

【所在地】
山梨県北杜市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・河岸段丘(河川に沿って広がる階段状の地形。)
・対性段丘(河岸段丘において両岸の段丘面の高さが同じで対をなすもの。)

【コメント】
 写真は左岸側から須玉川の上流側を見たものである。流れは見えないが、写真の谷を流れるのが須玉川で、写真右手前に見えるアスファルトの部分(左岸側の段丘面)とほぼ同じ標高に対岸(右岸側)の段丘面が見え、対性段丘を成していることが分かる。地形図で見ても、ほぼ同じ標高となっていることが確認できる。なお、写真中央に水田となっている段丘面が見えるが、これに対応する段丘面は右岸側には認められず、対性段丘とはなっていない。

(2014年5月訪問)

松原湖とその周辺

【所在地】
長野県南佐久郡小海町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・流れ山(岩屑なだれ堆積物によって形成された小丘。)

【コメント】
 写真上は松原湖(正式名称:猪名湖)を湖の南西付近から見たものである。松原湖は、887年に発生した仁和地震によって北八ヶ岳が山体崩壊を起こし、大月川沿いを流れ下った大規模な岩屑なだれが形成したものと考えられている。

 一方、写真下は、写真上を撮影したほぼ同じ地点から、湖とは反対側を見たものである。小さな丘状の地形が見えるが、これが上記の岩屑なだれにより形成された流れ山である。地形図を見ると、松原湖周辺には、同様の流れ山地形が複数認められる。

 なお、上記の岩屑なだれは、千曲川を堰き止めて巨大な天然ダムを形成し、それが翌年になって決壊したため、甚大な洪水被害を下流域にもたらした。このダム湖の一部は、決壊後も1011年まで残存し、千曲川沿いに「海ノ口」「海尻」等の地名を残したと考えられている。

(2014年5月訪問)

朝日池と鵜ノ池

【所在地】
新潟県上越市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・ラグーン(浅海の一部が砂などによって外界と全部または大部分が隔てられたもの。)

【コメント】
 新潟県の西部に位置する高田平野の海岸沿いには、潟町砂丘と呼ばれる海岸砂丘が発達している。砂丘の後背地には、写真上に示した朝日池や、写真下に示した鵜ノ池をはじめとして、多数のラグーンが点在している。朝日池はその中でも最大のラグーンで、ハクガン等の渡り鳥の飛来地として有名である。朝日池と鵜ノ池に隣接した区域一帯は「大潟水と森公園」として整備され、ラグーンの貴重な動植物の保全に一役買っている。

(2014年5月訪問)

高浪の池

【所在地】
新潟県糸魚川市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・堰止湖(河川水が、何らかの自然現象が原因でせき止められ生じた湖。)

【コメント】
 写真後方に写る赤禿山の北東斜面の地すべりによってできた堰止湖である。地形図を見ても、赤禿山の地すべり地形がよく分かる。高浪の池を撮影した写真は、石灰岩の山である明星山を背景にしたものが多く、そのほうが美しいと個人的にも思うが、ここでは成因を踏まえてこの写真とした。池周辺には遊歩道のほか、キャンプ場やグラウンドゴルフ場等が整備されており、気軽に散策できるようになっている。なお、高浪の池には、「浪太郎」という巨大魚が棲むという伝説もある。糸魚川ジオパークの「小滝川ヒスイ峡ジオサイト」の見どころの一つ。

(2014年5月訪問)

高田平野南東部の合流扇状地

【所在地】
新潟県上越市、妙高市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・合流扇状地(隣接する扇状地が、互いの扇端を重ね合わせるように連なる扇状地群。)

【コメント】
 高田平野南東部には、関川や矢代川、別所川、櫛池川、飯田川等が形成する扇状地が重なり合った合流扇状地が広がっている。写真は箕冠山から高田平野と東頸城丘陵の境目付近を見たもので、手前は大熊川、その奥に別所川の扇状地が見える。なお、箕冠山からは、開業まで1年を切った北陸新幹線の高架がよく見えた。

(2014年5月訪問)

渋海川

【所在地】
新潟県十日町市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・甌穴(河岸や河床に形成される円形の穴。)

【コメント】
 松代田沢集落と犬伏集落の間を流れる渋海川には、写真のような無数の甌穴が見られる。これらの甌穴は、川底の小さな窪みに入った小石や礫が、水流により周囲を円形に削ることでできた。写真は、国道253号線の田澤下トンネルと犬伏トンネルの間から見下ろしたもの。

(2014年5月訪問)

平根崎

【所在地】
新潟県佐渡市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・甌穴(河岸や河床に形成される円形の穴。)

【コメント】
 佐渡の外海府海岸に位置する平根崎には、波の侵食によってできた無数の甌穴群が広がっている。河川の水流によるものと比べ、波によるものは非常に珍しい。現在は波の届かない高所や海底でも甌穴が見られることから、海岸の沈降や隆起による海面高さの変化を反映していると考えられる。国の天然記念物。

(2014年6月訪問)

二ツ亀

【所在地】
新潟県佐渡市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・陸繋島(海岸近くの島が砂州によって陸続きとなったもの。)
・トンボロ(本土と島を陸続きにする陸繋砂州のこと。)

【コメント】
 草本に覆われた二ツ亀は、2匹の亀がうずくまっているような様子からその名が付けられた。干潮時には砂州(トンボロ)が現れて陸繋島となり、歩いて渡ることができる。訪問時にも辛うじて砂州がつながっていた。「日本の海水浴場100選」にも選ばれている。

(2014年6月訪問)

加茂湖と両津市街

【所在地】
新潟県佐渡市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・ラグーン(浅海の一部が砂などによって外界と全部または大部分が隔てられたもの。)
・砂州(岬や半島部から細長く海へ突き出した砂嘴が、湾口を閉じたり、対岸と結びついたもの。)

【コメント】
 加茂湖は佐渡の国中平野の北東端に位置し、新潟県最大の面積を誇る湖である。砂州が両津湾を閉ざすことで湖となり、その砂州の上に両津の市街地が成立している。かつて加茂湖は淡水湖であったが、明治時代に湖口が開削され、汽水湖となった。これにより、カキの養殖が始まり、現在に至る。

(2014年6月訪問)

大佐渡外海府海岸

【所在地】
新潟県佐渡市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・海成段丘(過去の海成平坦面がその後上昇して海岸線に沿って階段状の地形を示すもの。)

【コメント】
 外海府海岸は7〜8段の大規模な海成段丘が発達していることで有名である。写真は尖閣湾揚島遊園付近から北東方を見たもので、深い緑に覆われた段丘崖の間に薄い緑色(水田)をした段丘面が広がっている様子がよく分かる。写真では分かりづらいが、地形図で見ると、もう数段の段丘面を読み取ることができる。

(2014年6月訪問)

中川原新田の台地

【所在地】
新潟県糸魚川市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・火砕流台地(火砕流堆積物が形づくる台地。)

【コメント】
 早川の上流に位置する焼山は、約3,000年前に誕生した若い火山で、約400年間隔で大規模な火砕流を噴出している。写真は中川原新田付近から北西方向を見たもので、中央を流れる早川の左手(東側)に見える台地が、平安時代に形成された火砕流台地である。台地上は水はけが良いため、水田には適さなかったが、江戸時代の新田開発により見事な水田に生まれ変わっている。糸魚川ジオパークの「焼山ジオサイト」の見どころの一つ。

(2014年7月訪問)

両郡橋付近の土柱

【所在地】
長野県長野市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・土柱(軟弱な砂礫層が雨水などに侵食されることにより形成された柱状地形。柱の頂上部に比較的大きな礫があり、その下層が礫に保護されて土柱となったもの。)

【コメント】
 写真は国道19号線の犬戻トンネル東詰付近から北方を見たもので、目の前を流れる犀川の左岸側(写真の対岸側)に土柱を見ることができる。犀川の左岸側を通る道路に回れば、土柱を間近に観察することもできる。なお、やや小規模ながら、犀川の右岸側にも土柱が形成されている。付近の道路法面には土柱を模したと思われる模様が描かれており、景観に配慮したものとなっている。

(2014年8月訪問)

佐潟

【所在地】
新潟県新潟市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・砂丘間湖(砂丘が2列以上配列するとき、その砂丘間の凹地に生じた湖沼のこと。)

【コメント】
 新潟砂丘の砂丘間の低地にできた湖で、日本最大の砂丘間湖と言われている。水源は湧水と雨水で、水深は平均約1mと非常に浅い。湿地特有の生態系が維持され、貴重な生物の生息地となっていることから、日本で10番目のラムサール条約登録湿地となった。なお、佐潟のすぐ北に位置する御手洗(みたらせ)潟も砂丘間湖である。

(2014年8月訪問)

小千谷付近の河岸段丘

【所在地】
新潟県小千谷市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・河岸段丘(河川に沿って平坦面と急崖が階段状に連続する地形。河成段丘ともいい、平坦面は段丘面、急崖は段丘崖という。)

【コメント】
 信濃川の沿岸には山間部を中心に河岸段丘が発達している。このページでも紹介した津南町のものが大規模で有名だが(「津南町の河岸段丘」参照)、写真に示した小千谷付近にも河岸段丘が発達している。段丘崖が濃い緑に覆われているため、非常に分かりやすい。写真は金倉山休憩展望台から撮影したもの。

(2014年9月訪問)

毛無山(大平峰)

【所在地】
新潟県妙高市、長野県飯山市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・平頂峰(山や尾根の頂部が起伏の小さい平坦地形を成すもの。台状の平坦な頂の上部に横たわり、侵食から保護している層をキャップロックという。)

【コメント】
 新潟県と長野県の県境の一部を成す毛無山(大平峰)は、安山岩のキャップロック構造となっており、その名の通り、頂上付近が平らになっている。地形図ではそれほど平らとは思えなかったが、現地で眺めると思いのほか平坦に見えた。写真は、妙高市の樽本地区から沼の原湿原に向かう道の途中から撮影したもの。

(2014年9月訪問)

沼の原湿原

【所在地】
新潟県妙高市

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・湿原(泥炭上に形成される草原のこと。)
・中間湿原(主に雨水で涵養される高層湿原と、主に周囲からの流入水で涵養される低層湿原の中間の性質を持つ湿原。)

【コメント】
 斑尾高原に位置する沼の原湿原は、面積約19haの広大な湿原で、関川の源流部の一部を構成している。雪解けの時期にはミズバショウやリュウキンカが咲き誇るなど、湿原高山植物の宝庫となっている。なお、享保年間には、この湿原地域に75戸から成るその名も「沼」部落があったが、大正15年に電力会社の貯水池として用地買収されたのを機に全戸離村したという。

(2014年9月訪問)

ままこ落しの土柱

【所在地】
長野県北安曇郡池田町

【地形図】
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【地形の種類】
・土柱(軟弱な砂礫層が雨水などに侵食されることにより形成された柱状地形。柱の頂上部に比較的大きな礫があり、その下層が礫に保護されて土柱となったもの。)

【コメント】
 写真は道の駅「池田」付近から大穴山付近を見たものである。写真中央に見える三角錐状の土柱がままこ落しの土柱である。奇妙な名前だが、付近にあった田ノ入城にまつわる民話に由来するという。もともと頂に松の木が形よく生えていたが、2009年に崩落してしまった。

(2014年9月訪問)

離山

【所在地】
長野県北佐久郡軽井沢町

【地形図】
周辺の地形図へ(国土地理院提供)

【地形の種類】
・側火山(大きな火山の側面に付着しているような小さな火山体。寄生火山ともいう。)
・溶岩円頂丘(粘性の大きな溶岩から成る釣鐘状火山のこと。溶岩ドームとも呼ばれる。)

【コメント】
 軽井沢駅のすぐ北西に位置し、その山容から「テーブルマウンテン」の別名も持つ標高1,256mの離山は、浅間山の側火山である。以前からその山容が気になっていたが、最近になって側火山であることを知り、意を得た。写真は、軽井沢・プリンスショッピングプラザから撮影したもので、写真中央の離山の山頂後方にうっすら見えるのが浅間山である。

(2014年11月訪問)

古保倉川

【所在地】
新潟県上越市

【地形図】
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【地形の種類】
・旧河道(過去における河川流路の跡。)
・自然堤防(河川の両岸に見られる微高地のこと。洪水時の堆積作用による。)

【コメント】
 高田平野を流れる現在の保倉川は、旧保倉川の蛇行部分が河川改修によりカットされた流れであることはこのページでも紹介した(「旧保倉川」参照)。地形図をよく見ると、鵜ノ木付近から下中島付近にかけて、北西方向に激しく蛇行しながら続く水路と水田が確認できる。これは、今からおよそ4,600年前まで流れていた「古保倉川」の流路跡である。古保倉川が旧保倉川へと流れを変えた原因は不明であるが、高田平野全体の地盤運動が関係しているとの説もある。写真は島田付近を撮影したもので、水田が左へカーブしながら奥へと続いている様子が分かる。これが古保倉川の旧河道と考えられる。また、その両側に見える微高地は、古保倉川により形成された自然堤防であろう。

(2014年11月訪問)

五頭山地西麓

【所在地】
新潟県阿賀野市

【地形図】
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【地形の種類】
・土石流扇状地(土石流堆積物が形成した扇状地のこと。土石流は直進性を持ち、大きな岩塊が先端部に集中しやすいため、堆積地の縦断形は中央部が凸状をなし、横断形も中央部が凸型をなす扇状地形を示すことが多い。)

【コメント】
 花崗岩から成る五頭山地では、高い山となった50万年前以降、大雨のたびに土石流が発生し、山麓に礫や砂を堆積させてきた。最近では、1967年の羽越水害時に大規模な土石流が発生している。度重なる土石流により、国道290号線沿いの畑江からツベタにかけて、複数の土石流扇状地が形成されている。写真は魚岩付近から村杉付近を見たもので、緩やかに傾斜する水田や山麓の樹林帯(写真中央付近)が扇状地を彷彿とさせるものの、土地利用や植生の回復が進んでいるため、正直現地で見てもよく分からなかった。地形図を見たほうがよほど分かりやすいと思われる。

(2015年5月訪問)

上ノ原の風穴

【所在地】
長野県下水内郡栄村

【地形図】
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【地形の種類】
・風穴(山腹や山麓などで見られる空洞で、一般には夏に冷気などを吹き出すもの。)

【コメント】
 秋山郷を貫く国道405号線を南下する途中、屋敷集落と上ノ原集落の間にある。訪問時は5月で初夏の陽気だったが、思わず声を上げてしまうほどの冷気が岩盤の割れ目から絶えず吹き出しており、カメラを突っ込むとレンズが曇ってしまった。冷気の温度は夏でも10℃程度だという。

(2015年5月訪問)

布岩山

【所在地】
長野県下水内郡栄村

【地形図】
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【地形の種類】
・柱状節理(溶岩や火砕流などが固結するときに、体積が収縮するために形成される柱状の割れ目。)

【コメント】
 秋山郷にある屋敷温泉の北西にそびえる布岩山は安山岩でできており、幅1.5m以上の柱状節理が発達している。訪問時は逆光でやや見づらかったが、ところどころ残雪に覆われながら直立する柱状節理を観察することができた。

(2015年5月訪問)

光ヶ原高原

【所在地】
新潟県上越市

【地形図】
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【地形の種類】
・崩壊堆積地形(崩壊地で抜け落ちた土砂が堆積した地形。緩傾斜面を成すことが多く、先端の舌状部は土流となっていることが多い。)

【コメント】
 光ヶ原高原は標高780〜900m付近の山間地に突如として開ける平坦地である。関田山脈を構成する安山岩質の岩石が大崩落して堆積し、それらの一部がさらに崩落して一種の土石流のような形で谷底を流下するなどして形成されたと考えられている。写真はグリーンパル光原荘から撮影したもの。

(2015年5月訪問)

 


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