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  駒ヶ岳登り口・駒ヶ岳頂上(伊豆箱根鉄道・駒ヶ岳鋼索線)

1.駒ケ岳登り口(駅舎)

 

2.駒ケ岳登り口(ホーム)

 

3.駒ケ岳頂上(駅舎)

 

4.駒ケ岳頂上(ホーム)

【路線概略】 ※2005年9月1日廃止

駒ヶ岳の東斜面を走っていたケーブル線。定員106人,ロングシート仕様のケーブルカーが全長720m,最急勾配49%の斜面を5分で走っていた。2両のケーブルカーには「湯の花」「駒ヶ岳」の愛称がつけられ,頂上からは富士山や芦ノ湖,さらに快晴時には湘南海岸や房総半島まで見渡せた。しかし,乗客の減少に歯止めがかからず,2005年8月いっぱいで廃止された。

 

【路線データ】 ※現在は廃止

 

営業キロ

運行本数

1961年10月

駒ケ岳登り口−駒ケ岳山頂0.7km

?往復

1968年12月

駒ケ岳登り口−駒ケ岳山頂0.7km

?往復

1987年4月

駒ケ岳登り口−駒ケ岳頂上0.7km

?往復

2005年8月

駒ケ岳登り口−駒ケ岳頂上0.7km

29往復

 

【駅データ】 ※現在は廃止

駅名

駒ケ岳登り口(こまがたけのぼりぐち)

所在地

神奈川県足柄下郡箱根町元箱根湯ノ花沢119
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1957年11月16日

乗降客数

駅名のルーツ

駅名

駒ケ岳頂上(こまがたけちょうじょう)

所在地

神奈川県足柄下郡箱根町元箱根駒ケ岳山頂
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1957年11月16日

乗降客数

駅名のルーツ

 

【乗車記】(2005年8月)

小田原から箱根登山鉄道に乗った。3回のスイッチバックを満喫し,宮ノ下で下車。駅前からバスに乗り,双子茶屋というバス停で降りる。そこから坂道を勢いよく登り始めた。目指すは廃止が迫っている駒ヶ岳ケーブル線だ。

それにしてもおかしな場所に麓側の駅がある。駒ヶ岳ロープウェーとは違って,駅付近には何もない。ケーブル乗り場行きのバスもあまりに本数が少ない。これじゃ乗らないでくれと言っているようなものだ。どう考えても観光客の動線から外れている。

深い霧の中,結構な上り坂を登っていく。雨も降り出してきた。たまに車が嘲笑うかのように横を通り過ぎる。普段から馬鹿げたことをやっているが,さすがに今回は「箱根まで来て一体何をしているのか」と虚しくなってきた。が,引き返すわけにはいかない。

傘を差しながら少しずつ歩を進めると,やがて霧の中に登り口駅がうっすら姿を現した。木造ではないがそれでも非常に味わい深い古びた駅舎を前に,しばし呆然と立ち尽くした。

傘を畳んで中に入る。入ってすぐに発車したケーブルを見送り,じっくり駅舎内を観察する。随所にうらぶれた感が漂う。と同時に,過去の栄光を今でも虚しく訴えているようにも感じられた。

さよなら運転ということで,割引料金で切符を買う。間もなくやって来たケーブルカーに乗り,駒ヶ岳頂上に向かう。たった今登り口駅に降りたばかりの人がまた乗っている。なるほど,あんな急な坂道を歩かなくても,ロープウェーをうまく使って頂上側を起点にケーブル線を往復すればいいのだった。

発車したケーブルカーは,客が少ないのを不満げに,だけど健気に急勾配を登っていく。そこから見えたのは,芦ノ湖でも富士山でもなく,「白」だった。

5分で頂上駅に到着。到着して唖然とした。登り口駅以上に荒れ果てていて,これでもかと言わんばかりにうらぶれていたからだ。あまりにあからさまに時間の残酷さを見せ付けられ,なぜだか申し訳ないような,厳粛な気分になった。

駅舎を出て数十メートル進み,ふと後ろを振り返ると,頂上駅が霧の中に浮かんでいた。勝手なものだが,命運尽き果てようとしている駅には霧がふさわしいのかもしれない。芦ノ湖も富士山も何も見えないけれど,霧が出ていて本当に良かったと思った。


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