ホーム > 途中駅の情景Gműnd / České Velenice & Tábor


   Gműnd (Austria)/České Velenice & Tábor (Czech)

1.Gműnd

 

2.České Velenice

 

3.Tábor

【駅概略】

[Gműnd] Sigmundsherberg 経由で Wien − Praha 間を結ぶ路線にある途中駅。チェコとの国境直前のオーストリア側にある。

[České Velenice] Gműnd から1駅目,約2kmの地点にある駅。この2kmの間に国境を越え,チェコに入る。

[Tábor] 15世紀の宗教改革者ヤン・フスの支持者ら(フス派)が拠点にしていた町。戦時に備えて街路は入り組み,また地下にも通路が張り巡らされている。

 

【訪問記】(2005年4月)

ウィーンでの国際学会を終えた翌日,以前研究室に在籍していたチェコ人留学生に会うため, Praha に向かう。

Wien − Praha 間はチェコ第2の都市・Brno 経由で直通の国際列車が約4時間半で結んでいる。が,そんなものに乗っては味気ない。予想される沿線風景や経由地などを慎重に鑑みながら時刻表と相談した結果,Gműnd 経由で行くことに決めた。

前日に窓口で買った切符を手に,Wien Franz-Josefs 駅9時3分発の列車に乗り込む。そろりと静かに動き出した列車は,ヨーロッパの雄大な景色の中を,意外に速いスピードで快走した。

11時22分,Gműnd に到着。山間にある国境駅である。「国境を成す険しい峠のやや手前にある小さな国境駅」というシチュエーションに憧れて Gműnd 経由を選択したのだが,当の Gműnd はヨーロッパのなだらかな山中にあってイメージとはかけ離れていた。が,それも良い。

重いスーツケースを抱え,慌しく乗り換える。次に乗るのは11時31分発の České Velenice 行きで,この列車でチェコに入ることになる。陸路での国境越えは日本では体験できないだけに,否応なしに期待と興奮が高まる。

そんな当方の期待も興奮も露知らず, České Velenice 行きの列車はけだるそうに動き出した。そして最高速度に達したとも思われないうちにすぐにスピードを落とし始め,11時35分に終点の České Velenice 駅のホームに滑り込んだ。

意外な展開に,同行者も含めてみな呆気にとられる。が,終点なのだからしょうがない。さっき積み込んだばかりの重いスーツケースを再び抱えて,チェコ最初の駅 České Velenice に降り立った。

と,待ってましたと言わんばかりに係員が近づいてきて,パスポートの提示を求める。この4分の間にチェコに入っていたらしい。察するに,国境を越えて移動する人だけを乗せて旅券のチェックをするためにあんなはた迷惑な運行方式をとっているのだろう。

再び重いスーツケースを抱えて無駄に長いホームを移動する。悲惨なことに,次の列車は隣のホームから発車するとのことだ。

直通の国際列車で行っていればこんな目に遭わなかったのに,という不満が同行者からプラン作成者の私に向かって容赦なく放たれる。が,当のプラン作成者はこういう体験を大いに楽しんでいる。そんな人間にプランを考えさせるほうが悪いのだ,と反論しかかったが,普通に考えればやっぱり同行者が哀れで不憫ということになるのだろう。

次に乗るべきは11時52分発の České Budĕjovice 行きである。いかにもローカル線といった感じの路線で,のどかな農村地帯を行く。途中あまりにも雰囲気の良い駅があり,途中下車したい衝動に駆られたが,同行者の目をはばかって我慢した。

České Budĕjovice で再び乗り換え。今度は13時2分発の Praha Hlavni 行きに乗る。チェコには悪いが,オーストリアに比べるとやっぱり街並みがうらぶれ,くたびれている。「東欧」を感じる。が,それが良い。

Tábor で途中下車。ここはフス派の拠点だった町で,入り組んだ路地や地下通路が残っているという。プラン作成者は何か歴史的なものの跡,痕跡というのに弱いらしく,Tábor を訪問することになってしまった。

もとより同行者はフスのことをほとんど知らない。プラン作成者も別にフスに精通しているわけではない。もちろんフス派でもない。例のチェコ人留学生も「日本からはるばる来たのに何でそんなとこに行くんだ?」と笑っていた。プラン作成者の悪趣味につき合わされ,ここでも「哀れで不憫なるかな同行者」である。

前評判通りの Tábor を(少なくともプラン作成者は)じっくり楽しんだ。意外と観光客も多く,地下通路をめぐるツアーもなかなかの盛況である。なんだかんだと文句の多い同行者も入り組んだ路地で写真を撮ったりして,それなりに楽しんでいた(はずだ)。

再び Tábor 駅に戻り,預けていた荷物を受け取る。荷物預かり所の係員の方々がなぜか日本語を少し知っていてびっくりした。こんなところに日本人がたくさん来るとも思われないが・・・。と同時に,こちらはチェコ語を一言たりとも知らないことを恥じた。

そんな彼らが教えてくれた通り,今回の旅の最終ランナーは約10分遅れてやってきた。それから約2時間後,本当なら4時間半で到達していたはずの Praha の街並みが車窓を美しく彩っていた。


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