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  北宇智(JR西日本・和歌山線)

1.駅舎

 

2.高田方面をのぞむ(左が本線,右が引き込み線)

 

3.五条方面をのぞむ(左が本線,右が北宇智駅)

【駅概略】 ※2007年3月18日スイッチバック解消

JR和歌山線の五条から王寺方面へ1駅目,3.9kmの地点にある無人駅。20パーミルという比較的緩い勾配の途中にあり,関西で唯一のスイッチバックがあった。しかし,それゆえにATS(自動列車停止装置)のスイッチを入れ忘れるというトラブルが相次いだため,駅を北へ移転してスイッチバックを解消する工事が行われ,2007年3月18日から1面1線の駅となった。

 

【駅データ】 ※2007年3月18日スイッチバック解消

駅名

北宇智(きたうち)

所在地

奈良県五條市住川町
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1896年10月25日(南和鉄道として)

乗降客数

駅名のルーツ

旧宇智郡の北部にあり,宇智は「内」とも書く。「ウチ」とは大和の政治的地理的統一圏を意味し,外に対する内の意識のあらわれと考えられる。

 

【停車本数データ】

1925年4月

10往復

1944年12月

9往復

1956年12月

12往復

1968年12月

18往復

1987年4月

19往復

2005年7月

22往復

 

【訪問記】(2005年9月)

18きっぷが余ったので,ふらりとやってきた。4年ぶりに和歌山線に完乗,そして途中の北宇智駅で下車してみようと思う。

利用した電車は桜井線から直通で和歌山線に乗り入れる。そこから見える景色は徐々に山間部の色合いを濃くしていったが,完全に山奥にもなり切れずに北宇智駅のホームに滑り込んだ。

きっぷを見せて下車,さっそく周囲の散策に出る。乗ってきた電車が発車すると,駅周辺の閑静な集落はすぐにもとの静けさを取り戻した。鳥のさえずりと虫の鳴き声が聞こえるのみである。

スイッチバックがあるのでそれなりの急勾配を想像していたが,大したことはない。勾配がないとは言わないが,スイッチバックが必要なほど急勾配だとも思われない。第一,こんなに周囲の視野が開けていて,こんなに人家に囲まれたスイッチバックは見たことがない。しかし,この区間が開業したのは明治時代。当時はスイッチバックなしには運行できなかったのだろう。

お決まりとして,引き込み線の終端に向かう。が,絶妙な場所で切れていて近づけない。というより,どこに終端があるのかよく分からない。あえなくあきらめ,駅に引き返した。

と,高田方面行きの普通電車がやって来た。こいつに乗る気はないが,その発着する様子を駅の歩道橋から見物してみよう。

本線の緩やかな上り坂を苦もなく走ってきた電車は,スピードを落としながら引き込み線に進入し,ピタッと停止した。すぐに運転士が窓からひょいと顔を出し,慎重に,でもいとも簡単にバックでホームに入ってくる。そして再びピタッと停車,乗客2人を降ろすと再び苦もなく高田方面に向けて走り去って行った。

スイッチバックで進行方向が変わる場合は,運転士が反対側の運転台に移ったりするので,少々時間がかかるものだと思っていた。だから,あまりに手際よくスイッチバックを攻略していったことにとても驚いてしまった。

それでも駅北側にある踏切は,スイッチバックがあるせいで普通より長く閉じることになる。その踏切には「スイッチバックなので時間がかかるが待たれたし」との看板がある。・・・そう言われなくても,待つしかないのだが。

・・・・・・。

やがて和歌山行きの普通電車がやって来た。乗り込むと,例によって手際よくスイッチバックを通過していく。最初は「なぜこんなところに?」と思ったが,今はスイッチバックがこの地に違和感なく溶け込んでいるように思えた。


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