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  大誉地(北海道ちほく高原鉄道・ふるさと銀河線)

1-1.駅舎(正面とホーム側から,2005年10月)

  

 

 

1-2.ホーム(2005年10月)

 

 

 

2-1.駅舎(正面から,2006年1月)

 

2-2.駅舎内部(2006年1月)

 

2-3.池田方面からやって来た列車(待合所1号とともに,2006年1月)

【駅概略】 ※2006年4月21日廃止

北海道ちほく高原鉄道の陸別駅から南へ2駅,10.9kmの地点にあった無人駅。一時期は貨物扱いをしていたものの,1977年に廃止された。駅前には商店や郵便局,学校などもあるそれなりの集落が形成されていて,快速「銀河」をはじめ全普通列車が停車していたが,ふるさと銀河線の廃止に伴い2006年4月20日をもって廃止された。

 

【駅データ】 ※現在は廃止

駅名

大誉地(およち)

所在地

北海道足寄郡足寄町大誉地本町20-11
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1913年10月11日(国鉄網走本線として)

乗降客数

32人(1998年現在,1日平均)

駅名のルーツ

オ・イ・オチ(川底に,蛇,多い所)から出たもの。また,オヨチ(熊の害の多い所)だという説もある。

 

【停車本数データ】 ※現在は廃止

1925年4月(国鉄網走本線)

3.5往復

1944年12月(国鉄網走本線)

5往復

1956年12月(国鉄網走本線)

5往復

1968年12月(国鉄池北線)

下り8本,上り6本

1987年4月(JR北海道池北線)

7.5往復

2005年10月

7往復

 

【訪問記】(2005年10月)

薫別駅で下車し周囲を散策したあと,南西に向けて歩き始める。目指すはここから4.2kmの地点にある大誉地駅である。

さっそく右手に牧場が見える。そこから牧草を積んだトラックが出て行く。こんなところを一人でとぼとぼ歩いている人間はトラックの運転手の目にどう映っただろうか?

単調な道を単調に歩く。特に見るべきものはない。やがてふるさと銀河線の線路と交差すると,周囲はにわかに山間部の様相を呈し始めた。平らな牧草地を予想していたので少々困惑する。それに加えて辺りが暗くなってきた。文明を感じさせる光や明かりは全くない。持ってきた地図も全然見えない。

夜。真っ暗。北海道。山間部。無人地帯。一人でとぼとぼ。・・・となると,

「クマが出そうだ・・・。」

との思いに駆られる。そこで,

口笛をがむしゃらに吹く,鈴のついた家の鍵を必死に振り回す,持ってきた地図を丸めてぽんぽん足を叩く,などなど,自分の存在をアピールするため思いつく限りのことをやってみた。傍から見れば完全に変人だったろうと思う。だけど生きるために懸命にやっているのだからご容赦頂きたい。生に対する人間の執着心を自分に見た気がした。

そんな感じで完全な暗闇の中を40分ほど歩くと,遠くにぽつぽつと大誉地の集落の明かりが見えてきた。そんなに数が多いわけでもなく,そんなに強力な明かりでもないけれど,これほどまでに心強く頼もしく見えた明かりは今までになかった。

ついに大誉地駅に到着。駅舎に入って唖然とする。あまりに味わい深い木造モルタル造りの駅舎の中に,古き良き時代の愛くるしい光景が広がっているのだ。その味わい深さは私の筆力を超えていて,うまく表現できそうにない。とにかく,心細さの極限を歩いてきた旅人を優しく抱きしめてくれたことだけは確かだ。入るやいなや,安心してほっと胸をなでおろしてしまった。

そんな心温かく味わい深い大誉地駅も,半年後の死が運命付けられている。今日は単に薫別駅の隣にあるからやって来たに過ぎないけれど,死ぬ前に会うことができて本当に良かったと思う。

長い間本当にご苦労さま。今日はどうもありがとう。

そしてさようなら,大誉地駅・・・・・・。

 

【再訪記】(2006年1月)

去年10月に訪問したふるさと銀河線。半年後の廃止が決まっており,もう二度と来ることはないだろうと思っていた。が,ひょんなことから再び渡道することになり,ならばと再び来てしまった。

再び来てしまった理由の一つが大誉地駅だ。前回,薫別駅から歩いて訪問したものの,すでに暗い時間帯でそんなに時間もなく,味わい深い大誉地駅には悪いことをしたと思っていた。そこで今回は大誉地駅から始めようと思う。

3月のダイヤ改正で季節列車に格下げとなる夜行特急「オホーツク9号」で北見に到着。銀河線専用の券売機で切符を買おうとするも,旧千円札しか使えない由。仕方なくJRの窓口で大誉地までの切符を求め,置戸行き始発列車に乗り込む。終着の置戸で池田行きに乗り換え,定刻7時30分,大誉地駅に到着した。

まずはあの味わい深い駅舎を内外からじっくり鑑賞する。前回は暗闇の中に幻想的に浮かんでいた駅舎。今日は雪に映えて明るくたたずんでいる。空はきれいに晴れ渡り,すがすがしい。前回の懺悔に来た私は,この情景を見て,大誉地駅が前回の私の非礼を許してくれているような気がした。

周囲の散策に出る。まずは駅前の交差点を右に折れる。道の左右に家が建ち並んでいる。廃屋も目に付くが,煙突から湯気や煙が出ている家が多い。まだまだ大誉地の集落は元気なようだ。

やがて正面に小学校が現れた。北海道のローカルな集落には廃校がつき物なので,「もしやここも・・・」と固唾を呑んで様子をうかがう。が,特に廃れた感はない。建物もまだまだ現役に見える。そう言えば大誉地の駅舎内に学校便りが貼られていたのを思い出した。やはり大誉地の集落はまだまだ元気なようだ。

すっかり安心して駅に戻り,ホームで迎えの列車を待つ。ホームには駅舎に負けず劣らず味わい深い待合室がある。「待合所1号」とあり,昭和12年製らしい。まもなく古希を迎えようとしているがまだまだ健在で,中に入ると外の痛烈な寒さを防いでくれた。

やがて池田方面から迎えの普通列車がやって来た。再訪および懺悔を果たした私は,すがすがしく晴れ渡った青空のもと,颯爽と乗り込む。4ヶ月のうちに2回もお世話になった大誉地駅。が,これでもう二度とこの地を訪れることはないだろう。

長い間本当にご苦労さま。2回もどうもありがとう。

そして,今度こそ本当にさようなら,大誉地駅・・・・・・。


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