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  下沼(JR北海道・宗谷本線)

1.幌延方面をのぞむ

 

2.稚内方面をのぞむ

 

3.貨車駅舎と駅前通り

【駅概略】

幌延から稚内方面へ1駅,7.8kmの地点にある無人駅。国道40号線沿いにあるが,国道から直接はアクセスできない。牧場数軒から成る下沼の集落からちょっと入った奥まったところにぽつんと貨車駅舎とホームがある。

 

【駅データ】

駅名

下沼(しもぬま)

所在地

北海道天塩郡幌延町下沼
駅周辺の地形図
へ(国土地理院提供)

開業

1926年9月25日(国鉄天塩線として)

乗降客数

駅名のルーツ

パンケ・ト(下の沼)を意訳したもの。

 

【停車本数データ】

1930年10月

4往復

1944年12月

4往復

1956年12月

6往復

1968年12月

6.5往復

1987年4月

5往復

2005年10月

4往復

 

【訪問記】(2005年10月)

札幌での所用を終え,夜行特急「利尻」に乗り込む。酒を飲んでまどろむうちに翌朝5時前,幌延駅に到着した。一緒に降りた地元民とおぼしきおっちゃんとおばちゃんは,降りるやいなや,夜の幌延の街に溶けていった。

さて,私はここで1時間半待って,稚内行き普通列車に乗ることにする。駅の自販機でホットコーヒーを買い,札幌で入手しておいたパンを食べる。が,1時間半もかかるはずなく食べ終えてしまった。

あまりに暇なので,いまだ目覚めぬ幌延の街を散策に出る。人工音の全くしない静まり返った街に響き渡るのはカァカァというけたたましいカラスの鳴き声だけ。目を凝らすと,電線におびただしい数のカラスがとまっている。幌延の町は,人の数よりカラスの数のほうが多いように思われた。

こうして時間をつぶし,幌延駅に戻る。すると,2両連結の列車がホームに入って来た。作業員の方が手際よく切り離し作業を行い,うち1両は名寄行きとなって発車していった。

その約10分後,もう1両のわが稚内行き普通列車も発車。「もしや・・・」と思っていた通り,他に客はいない。唯一の貴重な乗客である私も,南下沼の次の下沼駅で下車。数分間お世話になった普通列車は,空気のみを乗せてむなしく去って行った。

下沼駅で降りるのは2回目だ。前回は隣の南下沼駅を訪問するためにここで降りただけで,下沼駅のほうには全く興味がなかった。が,降りてみると,これがなかなかどうして非常に心惹かれる駅だったのだ。

集落からちょっと入ったところにぽつんと貨車駅舎がある。集落から隠れるように奥まったところに入り,恥ずかしがっているようにも見える。前回はこのロケーションをひどく気に入ってしまい,駅前通りを集落に向かいながらも何回も振り返って名残を惜しんだのだった。

今回も隣の南下沼駅がメインながら,下沼駅も表敬訪問しておきたくて,南下沼駅で下車せずに下沼駅までやって来た。2年半ぶりに訪れた下沼駅は,前回と同じく隠れるようにひっそりとたたずんでいる。この集落と駅との位置関係,何回来てもやはり心惹かれるものがある。

が,その感慨の代償として,今から隣の南下沼駅まで,約2km歩かなければならない。だから,あまり時間がない。あまりないのに前回と同じく何回も後ろを振り返る。何回も振り返っては,けなげに恥ずかしげにたたずむ下沼駅に別れを告げた。

ここで,前回と違うこともある。まずは鼻をつく異臭。付近の牧場で飼育されている牛たちと彼らの排泄物が放つ強烈なにおいだ。あと,雨上がりの澄み切った空に架かる大きな虹。再びやって来た旅人を歓迎してくれているように見えた。

こうして下沼の地をあとにし,国道に出て足早に歩き出した。目指すは南下沼駅である。


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